World is mine (ページ20)

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番犬の葛藤ページ20

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少し前のまだ学生だった頃
3年間同じクラスだった俺とわたと光成とA。

仕事柄変な噂が流れたりしないように交友関係には気をつけてたから
学校でも4人固まって過ごすことがほとんどだったけど

それでもやっぱり誰にでも平等に愛想を振りまくもんだから
Aは本当にモテていた。

そのせいでちょっとヤバいなって肝が冷えた事件もあった。

基本的にAに湧いてくる男を蹴散らすのは俺の役目だったけど、たまたまその日は1人の仕事があって早退した日だった。
運悪く光成もわたも仕事で、Aは学校にひとりっきり。

黒田「絶対知らない奴に着いてっちゃダメだよ？俺今日は守れないから自分ででちゃんとするんだよ？」

『も～学校なんだから大丈夫だよ～お仕事遅れるよ？』

学校だってどこだって、人気商売の俺たちには何があるか分からないってことをいつも言ってるのに
『じゃあまたあとでね～』とわかったんだかわかってないんだか気の抜けた返事が返ってくる。

なんかあったらすぐ連絡して、と念押しして
Aと別れ一足先に仕事場へ向かった。

何となく学校から1人でレッスン場へ来させるのは嫌な気がして、湧に迎えを頼んでおいて正解だった。

案の定俺がいなくなってから他クラスの男に呼び出されたらしく、
俺の言いつけを守って丁寧に断ったAに逆ギレして強く腕を握られた、と赤くなった手首を冷やしながら湧に手を引かれてやってきた。

黒田「はぁ？ありえない。そいつ何組どこのどいつ？殺す」

『ちょっ！落ち着いて？だいじょぶだよ、ちょびっと赤くなっただけだから』

普段はAに聞かせたくなくて使わない汚い言葉が次々に口から溢れてくる。
今にもぶち切れそうな程絞り出した俺の声にびくっと肩を震わせるA。

元木「落ちつけって、A怯えてる。ちゃんとマネージャーに報告して学校にも連絡取ったから」

Aも怖い思いしながらもちゃんと黒ちゃんの言いつけ守って自衛できたんだしえらかったよ？とAの頭を撫でながら諭す湧が大人に見えて仕方なかった。

黒田「そ…だよな。ごめんねA怖がらせて」

『ううん。Aもいつも黒ちゃんが言ってることの意味よくわかってなかったから…いつも守ってくれてありがと』

肝心な時に傍に居れなかった自分に腹が立って八つ当たりしてほんとガキで嫌になる。
この一件は苦い思い出として今でも俺の中に残っている。

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