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your side
逃げるように色んな土地を転々と生きていく。
どうせまたすぐにダメになる
海の見えるこの町に来た時もそう思っていた。
それでも今までと比べてゆったりとした時間の流れ、
潮の香りとキラキラ光る青い海は
ボロボロになった私の心にひと時の安らぎと希望を与えることとなる。
何度目かの転校
いつか唐突なサヨナラが来ることを知っているから
なんとなくクラスメイトとは距離を置いてしまう。
何も不自由のない顔をして笑う同級生を見るのはあまりにも自分が惨めに思えて辛かった。
自己紹介も程々になんなく居づらい教室を飛び出して
私は人気なのない落ち着ける場所を探していた。
鍵の開いた音楽室
鍵盤を叩くと余りにも綺麗で懐かしい音が出るから
あぁ、これはもう私が触っていいものではないのだと
一気に現実に引き戻された気分になった。
中途半端に奏でられたメロディーが消えた時
入口の方から声をかけられた。
初めて湧と話した日
真っ直ぐな目で私を見ながら笑う君は
あまりにも眩しくて目を背けたくなった。
何故かは分からないけれどその日から
太陽みたいな湧は何かと私を構うようになった。
この制服に身を包んでいる間だけは
私は普通の学生なのだと錯覚できる
私の世界に光が射すには十分すぎる出会いだった。
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作者名：Nanashi | 作成日時：2024年1月8日 15時
