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waku side
『…ふたりとも、今までたくさん助けてくれてほんとうに、っありがとう…っ、』
もう大丈夫だよ、と泣きながら笑うAは今まで見た中で一番いい笑顔に見えた。
元木「…っ、俺、Aの、笑ったその顔がずっと見たかった」
Aを抱きしめてお互い泣きながら笑う。
愛おしい宝物に光が宿り、それを包むように颯太がまとめて俺達を抱きしめた。
内村「Aちゃんがちゃんと笑えるようになるまで、おれ、ずっと待ってた…っ！わくも、Aちゃんも大好きだよ…！！」
『〜っ、も、そうた、いたいよ！』
元木「ギブギブ！ちょ、颯太！」
ぎゅーっと効果音がつきそうなほど泣き合って、抱き合って。
他のお客さんも見守るように仲良しね、なんて優しい視線を向けてくれていた。
黒田「ずるーい、俺もはーいろ！」
深田「ちょ、ずるいって俺も入れて」
カウンター席からパタパタと2人も加わり、いつもは遠目から見てる檜山すら目頭を抑えて飛び込んで来た。
泣いてるのに、みんな笑ってて
俺がAと生きていきたい日常はこれだったんだ、と気付かされた。
『湧、あのね、』
元木「んー？」
俺とA、2人並んで歩く帰り道。
静かに聴こえる波の音が今日はいつもより心地よくて穏やかに感じる。
『あのとき私を見つけてくれて、ありがとう。…傷付きながらも私の手を引っ張って、一緒に歩いてくれてありがとう』
元木「……俺からも、A、…出会ってくれて本当にありがとう」
俺はお前が居たから、自分の人生に希望を持ってここまで来れたんだよ。
自分の過去の傷とも向き合うことが出来たし、
何より大切なものが増えた。
元木「…A、幸せになろうな」
「うん…っ」
ぎゅっと握った手が温かい。
どうか俺の大切な人達が幸せに生きていけますように。
そしてあわよくば俺の傍でAが幸せでありますように。
潮の香りが鼻腔を掠める。
Aの頬を伝う涙を拭えば優しく微笑みが返ってきて、俺の心が愛おしさで満たされていく。
ふたり並んで歩く幸せを噛み締めながら一足先に戻るみんなの元へと家路につく。
光に照らされながら明日への1歩を踏み出す俺たちを
凪いだ海が見守った。
𝑒𝑛𝑑.
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作者名：Nanashi | 作成日時：2024年1月8日 15時
