凪の彼方 (ページ22)

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waku side

Aが俺たちの家に来て数日が経った。
少し落ち着いたAからぽつりぽつりと
離れていた間に何があったのかを聞くことが出来た。

俺と颯太を除いた3人にも詳細な内容は伏せながらも
Aが話せる範囲で聞いてもらい、
住み込み先を飛び出してきたAはなるべく早く出ていくからと頭を下げた。

深田「…ずっとここに居たらいいじゃん…！Aちゃんだって2人といた方が安心できるし…でも部屋がないか…」

『ありがとう…でもこれ以上迷惑かけないようになるべく早く出てくから…』

内村「迷惑だなんて思ってないって。今はAちゃんが安心できる場所がないと不安だよ…」

黒田「……ちょっとまってて、電話する」

ズビズビと鼻を啜りながらそう言って黒ちゃんは誰かに電話をかけ始めた。

黒田「〜だから！この物件俺に一任してくれてんだよね？…ん、ありがと〜じゃね〜」

みんなが黒ちゃんの電話に首を傾げていると、今度はにこにこしながらスマホをポッケにしまいAに向かって親指を立てる。

黒田「Aちゃん、今日からここの入居者になったよ！」

『…へ？？』

檜山「あー、そっかここお前ん家の不動産か」

元木「ちょっと待てどういう事？全然わからん」

黒田「…言ってなかったけどここ、俺ん家の持ち物件なの。俺大家の息子」

内村「はぁ〜？！聞いてない！！」

深田「なになに黒ちゃんボンボンなの？！？」

そんなことどうでもいいの！と騒ぐ2人を蹴散らしAの元にずかずかと近づいてくる。

黒田「ここは元々金ない学生向けに作ったシェアハウスなんだ。本当はもう俺たちで入居者いっぱいなんだけど、幸いにもこの物件の管理は俺に一任されてるわけ！ってことでちょっと狭いけど物置部屋をAちゃんに貸します！」

あそこなら片付ければベッドとちいさなテーブルくらいおけるスペースあるでしょ、とAの肩にポンと手を置く黒ちゃん。

『…でもわたし、その…本当にいま払えるお金がなくて…』

元木「金のことなら俺が何とかする。…黒ちゃん、こいつの支払い俺がするから部屋貸してください」

内村「俺も手伝う。黒ちゃんいいでしょ？」

目の届くところにいてくれるならなんだってする
それは俺も颯太も同じで2人して黒ちゃんに頭を下げた。

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