40話 ページ41
「ふあ!あはは、もー、侑はすぐに抱きついてくるんやから〜!」
え…
今、なんて…
スマホを置いて窓に近づくと
2人の男女がキスしてた。
なんでだろ
見たらいけないのは分かっていたのに
もしかしたらと思ったのに
私は何を期待していたんだろう
もう関係ないはずなのに
また、裏切られた気分になってる
「私はこんなに苦しいのにな……」
あれ……
私……
♪〜♪〜
携帯の着信音が沈んでいる部屋に明るく響いた
私は2人から目を離さず、手探りで携帯を手に取った
「…はい。」
誰からの発信かも見ずに
「もしもし。治やけど…」
「あ、治君…?どうしたの?」
さっき連絡を取ろうとしていた治君の声に安心した
「いや、今度試合あんねんけど…」
「うん。」
「その、もし良かったら観に来て欲しいというか」
「えっ?」
「い!いややっぱええわ…行きにくいよな…すまん、気悪くするようなこと言うて」
「それは、応援して欲しいってこと?」
「なんか直訳され過ぎてて恥ずかしいけど、そういうことやな…」
「それじゃあ行く。」
「え。」
「だって、治君が熱中してるバレーの試合を見れるんでしょ?前から少し気になってたし私が行くことで頑張ろうって思って貰えるなら全然行くよ。」
「だから頑張ってね。」
「おう…おおきに。」
「フフッ、楽しみにしてる。」
「じゃあ、また明日」
「うん、またね」
ピッ
電話が切れてから窓を再び見るともう2人は居なかった。
気をそらせてくれた治君に感謝だ…
試合か…
侑は、あの人は、どういう風にプレーするんだろう
あの人と会う可能性が高いことへ若干の不安が残った…
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作者名:(名前) | 作成日時:2020年5月3日 19時