・ ページ32
楓「ん。だからすんげー久しぶりに運転した。代わる?」
「あはは!やだよっ」
楓「…ま、安全運転で。ちょっと走らせていーか?」
「うん。お任せする〜!」
私がずっと憧れていた車は、楓にぴったり合っていて。
ハンドルを切る横顔が、本当にカッコよくて。
世界一幸せ者かもしれない、なんて、本気で思ってしまった。
―――
「それでね、青木さん、”楓さん”とかって呼んでるんだよ。少し話しただけで大ファンになったみたい」
楓「楓さん、か。俺のこと名前で呼ぶのは、Aか家族くらいしかいねーな」
行先はわからないけれど、楓に話したいことが沢山ありすぎて、私は「あのね、それでね」とずっと喋っていた。
楓は優しく笑って、相槌を打ってくれる。
…時が、止まればいいのに。
楽しければ楽しいほど、現実が辛くなる。
さっき、職場で考えていたことを思い出してしまう。
アメリカ、か…。
遠いよね。よくやってきたよね、私たち。
しみじみとそう思う。楓と結婚したい。でも、仕事も…。
どっちが大事とかじゃない。比べ物にならない。そもそも分野が違う。
だって、私は…仕事としても、ずっとバスケに、流川楓に関わっていきたいから。
そんなことを考えていると、見えた看板は”朝比奈IC”。
「かま、くら…?」
楓「ん。懐かしいな」
国道134号線。
わたしたちの思い出が詰まった場所に、到着していた。
楓「由比ガ浜は、かわんねー」
「…うん。観光シーズンは、地獄」
楓「はは。観光客なんて気にもとめないで、俺はAとここで喋ってた」
「うん。英語の勉強、したりね…。いまや楓の方が、ずっとネイティブ」
楓「A」
日が落ちる寸前。
楓の顔が夕日に照らされていて、見入ってしまうほど綺麗だった。
気の抜けた返事をすると、楓は笑って、私の頬を手で包む。
楓「わがままを聞いてほしい」
「わがまま…?」
楓「俺に3年アメリカでの時間をくれ。で、Aもアメリカに住んでほしい」
「……!」
楓「Aが、…俺のことを抜きにしても、今の仕事が楽しくて、充実してることはわかってる。ニューヨーク支社があるって言ってただろ。…自分で言うのもなんだけど、今の俺には市場価値があると思う。どうにか、異動できねーかな」
,
349人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佐々(プロフ) - 一ノ瀬。さん» 一ノ瀬。さま、お優しい言葉ありがとうございます😭❤️誤字脱字等、修正作業週末に行なっていくので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2023年3月12日 9時) (レス) id: cc9ec891f5 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬。(プロフ) - 大大大好きな作品です!😭私も三井推しですが、流川もやっぱり良きですよねー🤞佐々様の書く文章は丁寧で大好きです!これからも応援しています💪 (2023年3月11日 18時) (レス) @page50 id: 4ca7f039c9 (このIDを非表示/違反報告)
佐々(プロフ) - 加恋さん» コメントありがとうございます!続編は修正作業中でした、すみません。明日には公開できると思いますので、よろしくお願いします! (2023年1月16日 20時) (レス) id: cc9ec891f5 (このIDを非表示/違反報告)
加恋(プロフ) - いつも素敵な作品読ませていただいてます! 続編のパスワードが分からないので教えていただけると幸いです🙇🏻♀️よろしくお願いします。 (2023年1月15日 10時) (レス) id: 57a60ddf65 (このIDを非表示/違反報告)
佐々(プロフ) - めんだこ。さん» めんだこ。様、コメントありがとうございます!嬉しいです( ; ; )お時間があれば、是非続編も読んでいただけるととても嬉しいです。 (2023年1月9日 21時) (レス) id: cc9ec891f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐々 | 作成日時:2021年2月25日 11時