わかるよ。 ページ19
――――your mind
『ちょっと!ルカワ、ヴァンクリの袋持ってる!』
…流川?
キラキラした女子高生たちが群がっている中から、その単語が聞こえて振り返ってしまった。
そしてその先には、日本人の平均身長をゆうに超えた、モデルのような…よく見慣れたシルエットの男性がいて。
取り巻きから逃れようとこちらに走って、サングラスを少し上にあげて叫んだ。
楓「A!!!」
「……楓?」
やっぱり徹夜なんてするもんじゃない。
肌には悪いし、目もかすむ。
ついでに、こんなに都合の良い白昼夢まで見てしまうんだから。
楓に良く似た男性は、私の手を掴んですぐさまタクシーに乗り込んだ。
私は全く状況がつかめない中、ボーッとする頭で彼を見つめた。
「……あれ?これって誘拐?…それにしても、貴方楓にそっくりね…。良い夢見せてくれてありがとう」
誘拐、なわけないか。と自分でツッコミを入れる。
何が欲しくて26の疲れた女を誘拐するのか。
それにしても、良い夢。
記事頑張ったから、楓からのご褒美だろうか。
楓「リッツカールトンまで。……A、俺。起きて」
「…リッツ?夢とはいえリッツに泊めてくれるの?」
楓「……すげークマ。頑張ってたんだな……。寝てねーんだろ」
「やだ、ほんとに楓みたい……。この夢から覚めたくないんだけど、どうしたらいいの?」
楓「…………」
タクシーの運転手に行先を告げた彼は、「はぁ」とため息をついてマスクとサングラスを改めて外してくれた。
そして、私の頬を大きな手で包んで、「夢じゃねーから」と笑った。
「かえ、で……?」
楓「うん。帰ってきた。連絡したら、気遣わせると思って」
「……ちょっ……え?なん……で…」
嚙み合わない会話の正体。
夢ではなくて、現実。
私のことを見つめる彼は、間違いなく、さきほどまで画面に映っていた日本の大スター、流川楓だった。
ボロボロと涙が零れて、前が見えない。
私が状況を呑み込めないまま、赤坂のホテルに到着していて、楓はすぐにチェックインを済ませた。
あっという間にタクシーから、私は泊ったことのない最高級ホテルのスイートルームの中にいて。
やっぱりまだ夢の中なんじゃないだろうかと、錯覚してしまうくらいの空間。
,
349人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佐々(プロフ) - 一ノ瀬。さん» 一ノ瀬。さま、お優しい言葉ありがとうございます😭❤️誤字脱字等、修正作業週末に行なっていくので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2023年3月12日 9時) (レス) id: cc9ec891f5 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬。(プロフ) - 大大大好きな作品です!😭私も三井推しですが、流川もやっぱり良きですよねー🤞佐々様の書く文章は丁寧で大好きです!これからも応援しています💪 (2023年3月11日 18時) (レス) @page50 id: 4ca7f039c9 (このIDを非表示/違反報告)
佐々(プロフ) - 加恋さん» コメントありがとうございます!続編は修正作業中でした、すみません。明日には公開できると思いますので、よろしくお願いします! (2023年1月16日 20時) (レス) id: cc9ec891f5 (このIDを非表示/違反報告)
加恋(プロフ) - いつも素敵な作品読ませていただいてます! 続編のパスワードが分からないので教えていただけると幸いです🙇🏻♀️よろしくお願いします。 (2023年1月15日 10時) (レス) id: 57a60ddf65 (このIDを非表示/違反報告)
佐々(プロフ) - めんだこ。さん» めんだこ。様、コメントありがとうございます!嬉しいです( ; ; )お時間があれば、是非続編も読んでいただけるととても嬉しいです。 (2023年1月9日 21時) (レス) id: cc9ec891f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐々 | 作成日時:2021年2月25日 11時