【wrwrd】できない【shp】 (ページ23)

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とぅえんてぃ_すりーページ23

「この家は俺の1番大切な場所だ。俺が命をかけて守り続けてきた、大切な家族が沢山いる…お前も、俺の家族だ」

言い聞かせるように

大切な家族だと

そんなことを言われたことはなかった

そんなことわざわざ言う家庭なんてそうないだろうけど

なんというか

心に響く、言葉だった

じいちゃんと遊ぶのはせいぜい月に一度で

そんなに頻繁に立ち寄るわけじゃなかった

「オヤジがお前を待ってる。着いてこい」

いつもじいちゃんと一緒にいる男の人は、ボディガードのようなものなんだろう

俺たちとは必要以上に話さない彼だが、いつもと様子が違うことくらいは分かった

いつも無表情で大人な彼が、焦っている

きっと、じいちゃんの体調が良くないんや

早く行かんと

早く

こんなことならAも連れてくるべきだったんやないんか

いや、じいちゃんはそれを望んでない

1人で来いと、言われたんだから

「じいちゃん！っ、」

うそやろ…

昨日の元気は、何だったんだ

「なんで、なん」

屋敷に住むたくさんの人に囲まれていた老人は、俺の知っている男ではなかった

弱々しく微笑んで

ほんまに、死んでまうみたいやん

自然とそんなふうに思った

彼女を連れてこなくてよかった

だってじいちゃんは、元気なひいじいちゃんのまま笑顔で終わりたかったから

「あぁ、俺のひ孫が来たな」

「、ぁ」

瞳に俺を映したじいちゃんは、ポツリとそう言った

心に染み渡る、心底安心できるような音が鼓膜を通る

ひ孫

Aじゃなくて

俺に、言ったん？

トンっと背中を押された

先ほどまで動くのをやめていた足が、軽い衝撃と共に動き出す

覚束ない足取りで俺が傍へ向かって進むと、じいちゃんを囲っていた人達が背中を押してきた

震えている人もいた

力強く押す人もいた

撫でるように手を当てる人もいた

その全ての体温が全身をめぐって、じいちゃんへの愛だと理解させられる

この人は、本当に愛されているんだ

この人が愛を与えた分だけ、この人に愛が注がれている

涙を拭うことはしなかった

出来なかった

ただ、目を合わせて

弱々しくこちらへ向かってくる掌を両手で捕まえて膝をついた