34.g ページ34
鬱が死に
シャオロンが重傷
我が国の勝利
連日立て続けに報道されたこれらの情報は、世界各国に広がった
大きな戦争をせずに軍備を整え、世界最大戦力を有すると言われていた我が国は、ついにその力を奮った
今まで以上に有名になったのだ
「そんでな、ぐるちゃん。僕、Aと一緒に、パン屋として暮らしていきたい。もちろん、常連さんにはバレてまうかもしれんけど、その辺は内緒にしてもらえるようにするから！」
必死になって話す鬱と、隣でじっと目を合わせてくるA
我が国を勝利へ導き、有名にした彼らは、軍から去り、2人パン屋として過ごしたいと言う
「ふっ、面白いな」
「ぐるちゃん…？」
正直に言って仕舞えば、隠し切ることなど不可能だろう
彼は善し悪しに関わらず有名になっているし、訃報の際に顔も晒してしまっている
「あぁなに、心配はいらん。お前たちの好きなようにするといい」
それでもこちらとしては彼らの望みを拒否することはできない
心底嬉しそうにする彼らを横目に、俺は鬱と出会った頃を思い出した
『お前がこの国を壊すんだ。内側から、圧倒的な力を持ってな』
父はろくでもないことを考えていた
その目的のためだけに俺を育てた
母親という存在は俺に関心を持っては居なかったが、嫌いではなかった
母にとっての俺は、己の欲を満たすための道具では、なかったから
無関心とは、愛情も、期待も、失望もない
とても気楽な関係を築けていたと思う
『お前が反乱を起こすんだ。王族をやって仕舞えば、この国は元の形に戻る』
果たして、父はどうするつもりだったのだろう
国を手に入れたところで、その後、何をするというのか
鬱と出会った頃、俺は迷っていた
今後、自分がどうするべきなのか
思想の合わない父との関係を、どうしていけばいいのだろうか
『なんでも、やったるよ』
事実、一眼見た瞬間にこの男は利用できると思った
事実、この男は大いに働いてくれた
自分の進むべき道が見えた気がしたのだ
そして
『なんで、こんなっ、！』
幼い頃から父の計らいで仲良くしていた王族も
『ふざけるな！王族に楯突いて、この先どうなると』
押さえつけようとする近衛兵も
『、いや』
母親も
『よくやった。やはりお前を育てて正解だったな』
父親も
この手で葬った
『よかったん？』
『あぁ、これで』
よかったんだろう？
俺を縛るものはこの世から消えて
俺がこの国を治めてやる
全ては
鬱のおかげだ
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あるか(プロフ) - ありがとうございます！少しずつ進めていくので気長に待っていてくださると幸いです！！ (2020年8月17日 15時) (
レス) id: 361634c89c (このIDを非表示/違反報告)
優 - 初コメ失礼します！すごい好きです！u_t推しなので最高…！まだ少ししか投稿されてないですが、これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2020年8月16日 3時) (レス) id: 455d9d23ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるか | 作成日時：2020年8月14日 0時
