20会 ページ20
「Aちゃん、今日もお店開くのかい？」
「少し休んだほうがいいわ。バイトの子は？」
「ありがとう。バイトの子まで働かせるわけにはいかないでしょ？お給料はあげるけど、来なくていいよって言ったの。…私は、休むわけにはいかないから」
鬱さんがいなくなって、数日がたった
何があったかと言えば、翌日には宣戦布告が為されたくらい
その後は幹部様の指示のもと、軍人は隣国の国境付近で戦っている
私はいつもと変わらずパン屋を営んで、常連さんとお話をする
「旦那さんが軍人だって言うだけでも大変なのに、その旦那さんが…」
「………」
「ちょっと！」
「ごめんなさい、無神経だったわよね」
新聞は戦争中でも変わらず出版される
そもそも戦争が起こったとしても国民はほとんど変わらず暮らせるような体制が整えられているから、当たり前なんだけど
最近の新聞の一面を飾っているその記事
もはや知らない人はいないと言うほどに広まってしまっている
無能幹部、行方知れず
戦争の前日に消えた
＿戦争に出向き消えた
自らの意思で人質になった
＿行方はわからない
事実は伏せられた
国が公表したのは、ただ、幹部が1人消えた、と
それだけ
「大丈夫です。あの人、すぐにいなくなるけど、すぐにけろっとした顔で帰ってくるんです。だから」
だから
ロボロから、連絡はないけれど
国からは何も言われていないけれど
それでもいい
「無事なら、それで…いいんですよ。帰ってきさえ、すれば、私は。ここで、この店を、ちゃんと、守って、あの人を待つんです」
「Aちゃん…」
彼と出会い、彼と暮らした、ここは
彼の帰る場所
私がいるべき場所
彼との時間が詰まったこの場所を、守らないといけない
店を閉めたら、彼が帰って来る場所がなくなっちゃう気がするから
「いい匂いがするって、言って。鬱さんは嬉しそうにパンを選んでくれたんです」
出会ったばかりのお客さんだった彼
覚えてるよ
私はいつからか、あなたが来るのを楽しみにするようになった
「Aちゃん、店前に軍人さんが…」
「えっ？」
常連さんが慌てた様子で店に入ってきて
「Aさん、ですね」
軍の制服を着た人が、入ってきて
「貴方に書類を預かってきました。お受け取り下さい」
封筒を渡される
「これって…」
「それでは、私はこれで」
「あの、ごめんなさい。…やっぱり今日はお店、閉めます」
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あるか(プロフ) - ありがとうございます！少しずつ進めていくので気長に待っていてくださると幸いです！！ (2020年8月17日 15時) (
レス) id: 361634c89c (このIDを非表示/違反報告)
優 - 初コメ失礼します！すごい好きです！u_t推しなので最高…！まだ少ししか投稿されてないですが、これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2020年8月16日 3時) (レス) id: 455d9d23ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるか | 作成日時：2020年8月14日 0時
