希望を守り抜いた、その暁に【キミガシネ】

指令8《ハンバーグ》 ページ9

カチャリ、と重い音がして箱が開き、中から出てきたのは＿＿


「うわぁ！」
「に……人間の……生く……っ！」


＿＿人間の生首だった。


と、言いたいけれど、生首にしては断面が綺麗で、肉を切る時に生じる特徴的なシワもないから……。


「待って、これは人形｣｢待って、これ人形じゃない？」

「｢…………｣」


言うことが被ってしまったニット帽の人に、何となく会釈をしておく。

……私、この人の名前も知らない。


しかし、私たちのそんな一声によって、周囲は冷静さを取り戻していく。


「……『カラダを 見つけて。
ワタシを 帰して
テも アシも ないから』」

「……ケイジさん、それは……？」

「箱の中にあったよー……。
身体を見つけて……？」

「身体が……どこかにあるのでしょうか」


皆、首をかしげる。
こんなことを言われてもどうしようもないから当然であるけど……。


「見つける必要なんてあるのかニャン？
こんなの罠だワン」


この中で一番年下であろう、飯伏(イブシ)銀(ギン)君がこう言った。
そして、その意見ももっともであり、賛同する者もいた。


「そうだね……。手紙通りにする必要はないと思うけど……」

「そうかもしれない。……でも、どちらにしてもここに留まり続ける訳にはいかない。
まわりを探索して、人形のパーツを見つけたら、その時に考えたらいい」

「……そうだね。キミの言う通りだ」


……気が弱そうな人だと思ったけど、訂正した方がいいかもしれない。
……この人……"彼"と同じ顔だけど……だからこそ変な感じがする。


「え、えぇ……？！ 危険じゃないんですかぁ……？」


……あ、そうそう、私が探索に行った方がいいって言ったんだったっけ。


「帰りてぇしな……。じっとしてもいられんっちゅうか……」


「す、数人でまとまって動こうぜ」


……ふむふむ、このメンバーの中でも、ジョーは割と警戒心が高い部類なのかな。

普段は人懐っこい……犬か、弟か……だったから、全くそんな印象は無いのだけど。


「誰か……怪しい動きが無いように、だろ？」

「……」


それでも、ナオさんはあまり探索に行きたくない様子だったので、レコさんと共にカンナちゃんの介抱を続けることになった。


……となると、私は誰と探索しよう。

少し悩んでいると、声をかけられたから、そっちに意識を向ける。


「……お前さん、肝が座っとるな」


たしか、この人は……。


「ハンバーグQタロウさん」
「バーガーバーグぜよ！！」


……どうやら、探索仲間の方はどうにかなりそう。

指令9《オチャメサン？》→←指令7《ミドリアカミドリ……アカ》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す