指令6《セイジャトシシャ》 ページ7
(ベッドの試練……?! ということは、アイにもペアがいた! でも姿が見えない……!
……違う。きっとカイさんがアイのペアだ。ということは、違う場所で拐われても試練のペアになることがあるのか……)
「……サラ? どうしたの……?」
「いや、大丈夫だ、アイ。問題ない」
「……そう、なら良い」
サラの様子が少しおかしかったが、サラはもう落ち着いていて、とてもじゃないけど聞こうとは思わなかったからそのまま流すことにした。
「それじゃあ、最初の試練のこと、教えてくれるか……?」
「分かった。
……一つだけ聞かせて。もしかして、サラとジョーも同じ試練なの?」
「ああ……鍵をやすりで削って、鍵穴に合う形にしたんだ。アイとカイさんもそうだっただろう……?」
「……え?」
おかしい。
だって、あの鍵はやすりで削っても、制限時間にはとても間に合わない。
だから、私は小刀で拘束具を切って……。
サラとジョーもそうじゃないの?
あの程度の拘束具、ジョーの力なら、外せるかもしれなくて……。
__何かがおかしい。
それに気が付いた途端、尋常じゃない冷えが私を襲う。
変な汗が出て、鼓動がうるさくて、着物が窮屈で仕方がない。
そんな私の様子に気付いたサラが焦ったような、心配そうな顔で私の顔を覗き込む。
「アイ……? アイ、どうした?!」
誰かが私の肩に触れる。
そうすると、震えは治まり、呼吸も整ってくる。
「きっと、アイは試練のことを思い出してしまったのでしょう」
「おに……ちゃ……っ」
「はい、お兄ちゃんですよ、アイ。大丈夫、大丈夫……」
背中を兄さんにさすってもらい、少しだけ落ち着く。
「サラさん」
「な、何ですか……?」
「私たちの鍵は、やすりでは削れませんでした」
サラが息を飲むのが聞こえる。
「なので、力ずくで拘束を解いたのです。
……それにしても、他のペアの鍵でできたことが、私たちの鍵では出来なかったとは……。不思議なこともあるものです」
兄さんが半ば強引に話を終わらせると、私の相手に専念してくれた。
「……もう大丈夫。ありがとう、兄さん」
「はい、兄さんですよ。……落ち着いて良かった」
しかし、こんな状況。
私が落ち着いても、他の人はそうではない。
「あああぁぁあああああ!」
声の主は、さっきまで震えて怯えていた女の子。
さっきまででは考えられない声で捲し立てる。
「死んじゃった!
お姉ちゃんが!!
私のせいで!!
なんで?!
どうして?!
うああぁぁあ……」
そうして、女の子はまた気を失ってしまった。
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水菜 燁(プロフ) - Rinoko*@名前変えたいが名前が思いつかんさん» 私、妹設定が大好きなんです……!コメントありがとうございます、とても嬉しいです……!更新、頑張りますね! (2023年5月9日 7時) (レス) id: 8fb4aadd0c (このIDを非表示/違反報告)
Rinoko*@名前変えたいが名前が思いつかん(プロフ) - うわん妹設定めっちゃ好きです……文章も凄く読みやすいですね…!無理しない程度に更新楽しみにしていますー! (2023年5月9日 0時) (レス) id: 71db0bbe64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水菜 | 作成日時:2023年5月8日 0時