指令14《フタリハウソツキ》 ページ15
隠し部屋には……一台のノートパソコンと、奥に本がぎっしりと詰まった本棚。
ソウさんは真っ先にパソコンに向かい、電源を入れたけど、パスワードがかかっているようで、そのまま動きを止めてしまった。
「……アイちゃん、パスワードのヒントになりそうなものとか……ある……?」
「……本は今のところ全て白紙。強いて言うなら似たような色の表紙の本が続いて置かれているくらい」
「……色、か……」
ソウさんはカタカタとキーボードを鳴らし始めた。
「…………」
正直に言う。
仮に私が守り抜かなければならない人が
兄さんの敵になるくらいなら、せめて味方のまま死ぬ方がマシだと思うから。
……でも、人並みの罪悪感というものは、こんな私にもある訳で。
(……ウソを言って、ごめんなさい)
私、本当はそのパソコンのパスワード知ってる。
その中には、有益な情報があるって分かってる。
でも私は、貴方を信用できない。
(よりにもよって、
「……あの、ソウさん」
「……? どうしたの、アイちゃん」
「……カンナちゃんが心配だから、様子を見てきたい。
すぐに戻ってくる」
「……うん、分かったよ。行ってらっしゃい」
ソウさんのその声を聞いて、部屋を出る。
少し小走りで、広場まで行くと、レコさんとナオさんは居るものの、カンナちゃんの姿だけが見えなかった。
「……アイじゃねえか?! あのニット帽はどうしたんだ?」
「今は別行動。
……それより、カンナちゃんは、どこ……?」
「……それが……カンナちゃん、少し前に意識を取り戻したんですけど……目を離した隙に居なくなってしまって、今探しているんです……」
「……私、遊戯場の方を探してみる!」
私が走り出した瞬間、レコさんの私を呼び止める声が聞こえたけど、申し訳ないけど無視する。
カンナちゃん……最初の試練で姉を亡くしてしまった子。
もしかしたら、私も同じ状況になっていたかもしれない子。
「……カンナちゃん!」
「……アイさん、ですよね……。えっと、どうしたんですか……?」
「……心配、した……! 私だけじゃない、レコさんとナオさんも心配してた……」
「……心配かけて……ごめんなさい……。
……でも、カンナはサラさんに聞きたいことがかるんです!」
何を……? と聞くことは出来なかった。
カンナちゃんが目的としているサラが現れたから。
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水菜 燁(プロフ) - Rinoko*@名前変えたいが名前が思いつかんさん» 私、妹設定が大好きなんです……!コメントありがとうございます、とても嬉しいです……!更新、頑張りますね! (2023年5月9日 7時) (レス) id: 8fb4aadd0c (このIDを非表示/違反報告)
Rinoko*@名前変えたいが名前が思いつかん(プロフ) - うわん妹設定めっちゃ好きです……文章も凄く読みやすいですね…!無理しない程度に更新楽しみにしていますー! (2023年5月9日 0時) (レス) id: 71db0bbe64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水菜 | 作成日時:2023年5月8日 0時