指令12《アナタハダレ?》 ページ13
サラとシン(仮)は、一つの場所を隅々まで探索するという感じではなく、この建物(?)に何があるのかを把握することにしているのか、来て間もないけどこの部屋を出るらしい。
……それとも、ただ単に探索するものが何も無いのか。
「……?」
シン(仮)がちょうど扉のところに立つと__
「危ない!!」
シン(仮)を突き飛ばし、その勢いに乗り私も部屋の外に出る。
「おーっと、ちょうど "五人、そろっちまった" なぁ」
その声の主に、先程回収しておいたリボルバーを格子越し構える。
「……五人をそこから出して。さもないと……」
「打つ、ってか。嘘はいけないねぇお嬢ちゃん。その銃に弾丸は入っていない」
ウソやハッタリは、通用すれば強力な武器となる……けど、通用しなければ意味がない。
諦めて銃を下ろすと、絵画がまた話した。
「……で、これからこの五人を解放するにはその銃が必要なんだ。
誰でもいいから返してくれよ、嬢ちゃん」
「……分かった。じゃあ、サラに預ける。
……絶対に死なないで」
「そ、それじゃあ、ボクとアイちゃんで何かこじ開けられそうなものを探してくるよ!」
「……え?! ま、待って!」
私は制止したものの、シン(仮)は私の手を掴んで走り出してしまった。
「待って
まって」
「離して!」
パチン、という乾いた音がなる。
私はシン(仮)の手を振り払い、後ろに跳んでシン(仮)と距離をとる。
小刀に手を伸ばして、万が一に備える。
……切羽詰まっていてこの瞬間まで気付かなかったが、そのときのシン(仮)の雰囲気は恐ろしく冷たくて、その目がまるで__。
「……ゃん……、……ちゃん」
まるで、
「アイちゃん!」
その声に意識を浮上させる。
シン(仮)は眉を下げて私の顔を覗き込んでおり、顔色は
彼の両手は私の両肩に持っていかれており、私は床に座り込み、シン(仮)は膝を折って私に合わせていた。
「……ぁ……あの……」
「アイちゃん……大丈夫? もし具合が良くないなら、レコさんやナオさんたちと一緒にいた方が……」
「……ありがとう。でも平気……道具を探そう」
シン(仮)は少し渋ったが、割とすぐに折れてくれた。
「……わかった。でも具合が悪くなったら遠慮しないですぐに言うんだよ?」
「……気を付ける。
……えっと、名前……」
「あ、そうだね、遅くなっちゃったけど……ボクは
よろしくね、アイちゃん」
あの男と、同じ名前……?
それに……。
……シンじゃ……ない?
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水菜 燁(プロフ) - Rinoko*@名前変えたいが名前が思いつかんさん» 私、妹設定が大好きなんです……!コメントありがとうございます、とても嬉しいです……!更新、頑張りますね! (2023年5月9日 7時) (レス) id: 8fb4aadd0c (このIDを非表示/違反報告)
Rinoko*@名前変えたいが名前が思いつかん(プロフ) - うわん妹設定めっちゃ好きです……文章も凄く読みやすいですね…!無理しない程度に更新楽しみにしていますー! (2023年5月9日 0時) (レス) id: 71db0bbe64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水菜 | 作成日時:2023年5月8日 0時