確かに恋だった［YouTuber短編集］

唇から伝染する(Sora) ページ22

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「映画観よう」

今の時代、映画なんてどんな手段でもみれる。映画館も勿論あるし、はたまたネットに繋げばすぐに観れるし。
インターホンに映った空の姿にギョッとしながら玄関のドアを開けると、某レンタルショップの袋を掲げてそう笑った。突然の訪問にびっくりしたけれど、「とりあえずどうぞ」と彼を上がらせる。空は突拍子も無いから本当に行動が読めない。今だってそう、なんの前触れもなく訪れてきたのに、この調子だ。当たり前のように、「お邪魔しまーす」とあたしより先にリビングのドアを開けた空に半ば呆れながら後ろをついていった


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「どれにしようかな〜」


鼻歌交じりに数枚のDVDディスクを片手に楽しそうに選ぶ空。どんなの借りてきたの？と尋ねる。



「教えない！楽しみにしてて」


また一つ悪いことを覚えた子供のような顔をして空は笑う。あたしと空は多分、ただの友達だ。好きか嫌いかと言われればそれは好きだし、あたしは空のことを男の人として意識している。本当はこんな感じで当たり前のように家に来てくれるのも心臓がどくどくとうるさいほど嬉しいし、緊張する。でもこの男にはどうも常識が通じない。その人懐っこさは男女平等で、これまた優しいと来たら女の子は黙っていない。他の子にもこんな感じなのかなぁと考えると、ついセンチメンタルになって切なくなってしまう。モテる男を好きになるのも容易くないなとため息をついた。


「よし決めた」


DVDをデッキにセットして、当たり前のようにソファに座り「おいで」、と空は自分の隣を叩いた。言われた通り素直に座ると、「やっぱ映画は雰囲気が大事だよね」と自分の家かのようにリモコンを使って電気が消される。ワクワクしている空と裏腹に、あたしは一層ドキドキしてしまって気持ちを紛らわすようにゆらゆらと湯気の立つコーヒーを口の中に目一杯広げた。

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