確かに恋だった［YouTuber短編集］

甘ったるい(Mahoto) ページ19

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あたしだって彼氏の自慢をしてみたい。
あたしの彼は有名人でファンがたくさんいて大勢の前で歌を歌って沢山の人に慕われていて。それなのに彼女であるあたしへのアフターケアも忘れない。どんなに疲れていても合間を見つけて会いにきてくれるし、急なサプライズなんてもう数え切れないほどされた。どんなに口が悪くて不器用でも、彼は絶やさずあたしに愛をくれる。皆の前で口を大にして言いたい。彼氏はワタナベマホトだよって、叫んでやりたい。



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現実そんなことは無理な話だ。もしそんな事をすればこの幸せは音を立てて崩れて行くだろう。だからあたしは今日もマホトがくれた合鍵を持って人目を気にして仲間家に向かう。会うのはいつぶりだろうか。最近お互い仕事が忙しくて中々会えていなかったから、どんな話をしようって心が躍る。成人していい大人になっても恋愛にこんな感情が芽生えるとは思わなかった。そんな想いを抱えながらエレベーターを上がる。



「お邪魔しま〜す…」


開けた玄関には相変わらず無造作に並んだ沢山の靴。リビングの電気はついていて中からドタドタとこっちに向かって来る足音が聞こえた。



「まって！苦しい！」


あたしの顔が見えた瞬間何も言わずに抱きついてきたマホトに痛いくらいに抱きしめられる。その力を支えきれなくて後ろにへなへなと倒れこむと、彼はあたしの顔を覗き込んで笑った


「おかえり」


会いたかった、と小さく呟いてまた抱きしめてきたマホトに頬は自然と緩んで来る。あたしもだよと返すように力込めて抱きしめ返した。

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