例えばのお話 (ページ42)

今日:27 hit、昨日:11 hit、合計:77,401 hit

〃ページ42

.

「いろいろ考えてるみたいだけど
それ全部ハズレだと思う」

“明日家行っていい？”
そう連絡来たのが昨日の夕方
俺は仕事があったから“20時なら確実”と送った

俺が仕事から帰ってきたのが2時間前
20時少し過ぎた頃、チャイムが鳴って
玄関先に那須がいた。
後ろ手に何かを持って。

玄関ドアが閉まると、これ。といって
目の前に薔薇。

「学生の頃から好きかなとは思ってたんだけど、好きって認めるのが怖かった。でも大人になって恋がわかって、数年前に愛を知って、浮所の隣にずっといれたら俺はそれだけで幸せかもって思った。

お前も俺が好きだと思ったんだけど違う？」

こいつ、すごい自信あるじゃん。
好きだけどさ。

「…最近恋愛を知ったやつに言われたくないけど……好きだよ」

「お前と20年くらい一緒いたけど、飽きることなんてなかったし、それはこの先もそう。
ゲームにガチになるとこも、
俺に向ける笑顔も、底なしの明るさも、
お前のひとつひとつの感情が好き」

「俺は嬉しいけど……それでいいの？」

「当たり前だ。お前に贈ってきた花は
ちゃんとその時の俺の気持ち。
学生の頃からもう好きだったんだよ」

薔薇の花束を片手に抱え、右手で携帯を操作する那須。ずい、と無言で見せられた画面には
今までくれた花たちの画像と、花言葉が羅列してあった。

「意味、、知ってたの？」

「知ってた。お前に合う花を選んでた。
……薔薇ってさ、本数にも意味があるんだ。

4本は、死ぬまで気持ちは変わらない」

ロマンチストになったなあ
そんな口説き文句、泣いちゃいそう

「浮所。好きです。

俺と付き合ってください」

差し出された花束を潰れないように受け取ると
片手に持ち替えて、那須に飛びつく。

「もちろん！！」

好き。大好き。
今までずっと一緒にいたんだもん。
今更手放せないよ。

俺からは5本の薔薇を贈ろうかな。