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「ん〜〜〜なんか気持ち悪いんだよなあ」
「どうした?」
「那須〜なんかさストッキングが気持ち悪い」
全部仕上がって女子生徒の姿も見えなくなったところでそんなことを言ってきた。
俺らには縁遠いものだし、慣れないだけだと浮所に言いつつ俺は律儀に解消法を調べてた。
なるほどね?
「浮所。ちょっとこっちおいで」
「なに?」
「ちゃんと踵にあってる?」
その場にしゃがみ、浮所の足を自分の膝に乗せながら問う。これ、かかと無かったよ〜なんて呑気に返された。じゃあ後はこれするしかないな。
「ちょっと失礼」
浮所の背後に回り、スカートの中へ手を入れる。この状況傍からみたらヤバかったな。誰もいなくてよかった。
「……ほわっ!?ちょ、なすっ!?」
「じっとしてて。こうするといいんだって」
「ひっ……おまえ、手ぇ冷たい…」
「お前待つ間に水飲んでたからなぁ…それのせいだわ笑」
浴衣の袖がめくれ上がるが気にしない。
両手をストッキングの中へと入れ、手のひらを上にし左右へ手を動かして生地を伸ばす。
ちらっと浮所を伺うと、頬から耳にかけて赤くなっている。
へぇ……こいつでも羞恥というものあるのか…
「この生地が変わってる部分あるでしょ?
ここが、っと、付け根まできたほうが締めつけが自然なのと、ちゃんと上まであげれ、ばっ」
「いや、教えてくれたら自分でやるよ?!」
「ほら、できたよ。
やって見せたほうがはやいでしょ」
「うぅ…もうお嫁に行けない…」
「はいはい。お前は婿だから大丈夫だ」
「今、大事な何かが失われた気がする」
「気の所為だ。気にすんなって
それより早くいこーぜ」
「おう!なす、ありがと!!」
耳に赤さを残して浮所はくるくる回る。
「だから、パンツ見えるって笑」
「いーんですーこれは見せパンというものですー」
「俺の心配事が増えるから大人しく、な?」
頭をクシャっと撫で、
先程の行為で乱れた袖を直す。
すると浮所が割かし真面目な顔で近づいてきて
「これ、忘れてる」
と、扇子を帯にさしてくれた。
顔の赤みはまだ引いておらず
浮所の照れるポイントがわからん。
腹減ったし、まず焼きそばだなー
一方の浮所は。
(うわああああああ待ってまって!
浴衣マジックなんですか?そうなんですか?
だめだ格好いい。やっぱりすき!)
脳内が大惨事だったとか。
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作者名:一縷 | 作成日時:2020年5月7日 4時