11 ページ29
▽高校生(付き合ってない)
「なす、みーーーっけ!」
グラウンドでは来週の文化祭に向けた準備をする声、その音を聞きながらぽけーっと準備の様子を眺めていると背後から声をかけられる。
突然だったが、声をかけた人物である浮所はその前段階から騒がしく、「那須ーどこー?」なんて言いながら探していた。それもあってか、探し人の那須は驚く気配もなかった。
那須がいる空き教室の窓際は那須が窓を開けたが、出入口は閉まっていた。しかし、浮所が教室のドアを開けたものだから、風の通り道が出来、強い風が教室内に吹いた。
風の流れにならって浮所のほうをみる。
「………パンツみえんぞ」
「なっ!?言うことそれだけ!?」
「スカートの下が残念だな」
「やっぱり文化祭だし、女装・男装は外せない!」というクラスメイトの意見で、浮所はクラスの売り子として女装をさせられていた。
よくある制服姿で、明るい茶色のセミロングヘアに長袖シャツの袖を数回折り、上は白のベスト、スカートは何故か膝上……。女子生徒のをそのまま借りたような格好だった。
強風に煽られたスカートの下から見えたのはたくし上げられた運動着だった。
「お前は俺になにを求めてんの?笑」
「完璧な女の子」
「言ったね?言ったからね??当日覚えとけよ!」
制服姿も可愛らしいけど、教室を出てくる前にワンピースもいいって女子達が話してた気がする…。これから1週間、浮所は着せ替え人形だな、と那須は心の中で哀れんだ。
「そろそろ教室もどろー?」
哀れまれている当人の浮所はそんなこと知る由もなく、那須に声をかける。
「お前の採寸もしたいって」
「おー」
「なにみてたの?」
「んー、青春?」
「ははっ笑 格好つけなくていいから笑」
話してるうちに浮所は那須の横へと近づき、先程那須が見ていたグラウンドを、落下防止の為の窓の手すりに腕を乗せてみている。
155人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:一縷 | 作成日時:2020年5月7日 4時