In My Room -3- (ページ2)

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-100-　(2016.1.17改編) ページ2

「ちょっと付き合ってくれないか？」
「なんでですか？」
「なんでって...まぁいいから」
今日に限ってイェソンさんは、私の返事を無視して腕を引き駐車場へ向かう。

「ただいま」
俺の実家。あがって。と簡単に私を家の中に招き入れ、自分は玄関を上がり私を見下ろす。
「えっ、そんな突然...」
「あらあら、いらっしゃい」
奥からスリッパをぱたぱたと音を鳴らしてイェソンさんのお母様が出迎える。

「すみません、手ぶらで...あの私」
「あら、ごめんなさいね。もしかして何も言われないで連れて来られたんじゃない？ジョンウン、あなたいつも言葉が足りないのよ。こんな所に突然連れて来られて可哀想に」
「母さん、人手が必要だって言ってただろ？ちょうどAも今は時間あるし料理上手いし、いいんじゃないかって思ったんだよ」
良い反論とは思えないイェソンさんの返しに、もうあんたは。と背中を叩かれている。

「Aさん、あがって。今日お正月の準備をしてるの。今年は頑張ってなるべく手作りにしようって意気込んだはいいんだけど、やっぱり私1人じゃ大変で。たまたま昨日そんな話したから、この子Aさん連れて来たのよ。大丈夫だったかしら...？」
「はい。でも私ちゃんとしたお正月料理なんて作った事ないですけど、大丈夫でしょうか？」
「そんなの問題ないわ。私もむかーし母から教わって久しぶりだもの。ネットの力にも頼るわよ。ふふふ」
思いもしない展開で私はエプロンをして、イェソンさんの家の台所に立っている。

「私こういうの憧れてたのよ、女の子と台所に一緒に立って料理するの。Aさん、手際がいいのね。お母様がお上手なのかしら？」
一心に野菜を刻んでいると思いがけない質問に一瞬手が止まる。

「母は居なかったので、自己流です。これで合ってますか？」
努めて明るく言って手元の野菜を見せる。

「居なかったの...？」
「居なかった、と言いますか、児童養護施設で育ったんです。途中で引き取られんですが、その父も奥さんを亡くしていたので、やっぱり母親の存在を知らないんです。」
暗くならないように笑顔で返せば、お母様も笑顔を返してくれる。