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さっきのことを思い出し、自然と頬が染まる。

「(いやいや、さっきのは事故よ、事故。ぶつかった自分に非があるわ。勘違いしないの)」

と、内心荒ぶっていると、ぱちっと誰かと目が合う。その目のあった相手が先程ぶつかってしまった彼だと分かり、思わず固まる。

そんな私の様子を知ってか知らずか、彼はニコリと微笑んだ。

その柔らかい笑みを見て自然と頬に熱が集まる

必死に熱を冷まそうと手で顔を仰いでいると、原因である彼が近づいてきた

「…さっきはほんまごめんなぁ。どこも怪我しとりませんか?」

「え、あ、えと、大丈夫です」

「(なんでこんな挙動不審なんだよ私ぃぃ)」

「そない緊張せんでもええのに。てか、同じクラスやったんですね」

「あ、そ、そうですね?」

「なんで疑問形なん」

そういい彼はクスリと笑う
あ、めっちゃ絵になる。

「僕、折原センラ言います。部活は陸上部。よろしく」

「あ、桜木紗梨と言います。えーと、部活は吹奏楽部、です」

「へぇ、吹部なんや。何やってるん?」

「フルートやってます」

「なるほど〜」

それにしても折原くんが陸上部とは意外だ。声がソプラノっぽくて綺麗だから音楽系に入っていると勝手に思っていた

「えと、折原くんは陸部の何やってるの?」

「短距離です」

「は、速そう」

「そうでもないけどなぁ」

気になりかけている人と普通に話せるとは…。あがり症な私にしては凄くないか??

「折原ぁー。和泉ちゃんが呼んでる」

「なぬ!?今行くわ」

"和泉ちゃん"
その名前を聞いた瞬間折原くんは嬉しそうに扉の方へと駆けていった

「…和泉、ちゃん」

ぽそっと呟いた言葉は空気に溶けた

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作者名:ロン | 作成日時:2020年7月12日 15時

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