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｢…遅い｣
｢ほんまよな｣
今はもう使われていない空き教室
2人の男女が気怠そうに机に座っている
｢どこで寄り道してるんじゃあの胸毛｣
退屈そうにスマホを弄っていた色素の薄い髪をした女が呟いた
それに同調するように半分寝ていた紫髪の青年が軽く頷き、女に問う
｢…坂田は？｣
｢……｣
｢え、ちょ、璃奈さーん｣
藍色の髪をした彼女、基、和泉Aが黙ると、焦ったように紫髪の青年…月崎志麻が声を掛ける
｢天然タラシなんて知らない｣
｢え、なになに喧嘩中？？｣
｢うっさいまーしぃ｣
｢え、理不尽｣
志麻が理不尽に怒られているとき、ふと
バン！っという大きな音を立て、扉が開く
大きく音を鳴らして扉を開けたのはたった今Aとまーしぃが待っていたセンラだった
｢ほんｯｯとにすみませんでした！！｣
｢ﾊｧ､ﾊｧ､…センラ…速い｣
その後ろにはセンラを連れてきたはずの
浦田がいた
｢センラちゃーん、遅いよー？？｣
｢いや、ほんとすみません｣
｢何時集合やったかなー？｣
｢えっと〜｣
｢ほい、怒るのはあと｣
本格的にセンラが縮こまりそうになった時、先程までバテていた浦田が声を出し、周りを仕切る
｢…なんで遅れたの？｣
溜息を着きながらAが尋ねる
｢えーと、女の子にぶつかりまして｣
｢？ぶつかっただけでそない遅れる？｣
｢うわ！坂田！？｣
心底分からないとでも言うような表情でいつの間にかいた坂田が問う
｢なんやねん！人をユーレイみたいに！｣
頬をぷくーっと膨らませた坂田の元にそぉっと近づいたAが坂田の膨らんだ頬を手でつついた
ふすっと空気の抜けた軽い音がして坂田の頬が元に戻る
｢やめぇや、A！｣
｢タラシな坂田なんて知らないもん｣
｢え、俺なんかした！？｣
｢えー、ん"ん"！｣
痴話喧嘩のような会話に痺れを切らしたのか浦田がわざとらしく咳払いをする
その音に坂田とAはビクッ！と体を震わせ黙る
黙ったことを確認し、センラが続きを話し始めた
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作者名：ロン | 作成日時：2020年7月12日 15時
