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『おはようさん』
私は今、知らない人に話しかけられている。
…いや、実際は知らなくも無い。名前ぐらいは知っている。
私の目の前に立つ吉野晃一はダラっと着崩したシャツから綺麗な肌を覗かせている。
「…私に、挨拶してるんですか?」
誰も今、私が置かれている状況について説明してくれないのでとりあえず確認をする
『あひゃひゃ!おもろいなぁほんまに。んー君やなかったら誰やと思う?』
要するに
「おはようございます」
さっきの挨拶は私への挨拶だろう。
一応先輩だから失礼の無いように挨拶を返してその場から去ろうとして
『またお昼なぁ!』
どうやら私はあの先輩とお昼にまた会うらしい。
「…なんで」
「さぁね。おめでと」
「めでたく無い」
隣の席に座る友人は面白そうに笑うけど、全く面白く無い。
「なんであんな学校イチのヤンキーの吉野晃一に私が好かれるの?どこにそんな要素あった!?」
「まぁまぁ落ち着きなよ。イケメンなんだから好かれときゃいいじゃん」
「なんでそんな楽観的なワケ…」
今朝目の前に立たれた時の先輩の姿をふと思い出す。
初めてあんな間近で見たけど、普通のイケメンだったな。目はデカイし。なんていうか、肌もちもちだし。無造作に開けたシャツは"ヤンキー"を彷彿とさせるってよりは"えろさ"を際立たせていた。
「…いや、やっぱり無い」
「何、急に」
「あんなヤンキーとは関わるべきじゃない」
「何1人で結論出してんの」
よし。決めた。今後は一切の関わりを絶って_
「なんでここにいるんですか」
『ゆうたやん。お昼なぁって』
「…ここ、1年生の教室ですよ?」
『それぐらい知っとうよ』
吉野晃一はまたあの独特な笑い声で笑う。
「私、食堂に行くので」
『え、そうなん?ほんなら俺も』
呆れ顔の私とは反対に嬉しそうに笑う吉野晃一に諦めて、あれから何度か一緒に食堂でご飯を食べたのがマズかった。
やらかした。
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○○(プロフ) - あっちゃんさん» ありがとうございます。頑張らせていただきます! (2018年7月28日 22時) (レス) id: bc97300b24 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - 作者さんの小説大好きです!これからも応援してます! (2018年7月28日 20時) (レス) id: a151bbb754 (このIDを非表示/違反報告)
○○(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます!嬉しいです。頑張らせて頂きます! (2018年3月20日 9時) (レス) id: bc97300b24 (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - たくちゃんのプロポーズのお話泣きそうになりました…。更新待ってます!頑張ってください:-) (2018年3月19日 22時) (レス) id: d6341b5934 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:.C | 作成日時:2017年12月23日 22時