恋する乙女よ、嘘をつけ。 (ページ34)

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俺がアイツを確実に意識したのは、いや正確にはアイツらしき存在を意識したのは……

「はよー拓弥」
「はよ…え？晃一」
「ん？偉いやろ」

まともに授業にでていなかった晃一が授業に出始めた頃だった。
何か、俺の知らない誰かが晃一を変えた。
俺からすればそれは嬉しい変化で、この幼馴染がいれば少しでも楽しく過ごせるわけで。

そんな誰かホワホワしていた存在のアイツはあの日俺の中で確実にアイツになって……

そして

俺は片思いってのを始めた。
始めたのはあの日＿＿＿＿音楽室で話した日＿＿＿＿じゃない。

多分。

多分……

『晃一、Aちゃんと付き合ってるの？』
『なんやそれ。全然ちゃうわ』
『にしてはAちゃんと話してる時楽しそうだよ。晃一』
『まぁ楽しい事には変わりないな』
『ほら。好きなんじゃないの？』
『残念ながらちゃうなぁ。どっちかって言うと娘』

晃一にムキに質問をしている自分に気づいた時かもしれない。

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