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3年生になった。
綺麗に咲いていた桜も散って緑が増えてきた中庭をぼーと眺める。
「北川さん」
後ろの席から名前を呼ばれる。
「ん？」
「佑亮、呼んでたよ」
「え、ほんと？ありがとう！」
「うん」
北村匠海くん。草川先輩似のマッシュヘアの男の子。
去年佑亮と同じクラスだったから何度かしゃべったことはあったけど、実際にここまで喋るのは初めて。普通にいい子。
「佑亮、お待たせ」
「よーし、帰ろう！」
今日はオフの日。もう、私は音楽室に行かなくなった。
「なーんかさ。やっぱり淋しいよねー」
「うん」
僕、また泣きそー。と隣で佑亮が石ころを蹴る。ころがる石ころ。はねて、
「あっ…！ご、ごめんなさ…」
「あっ…」
「いって……って、佑亮とAちゃん」
「お久ぶりです…海先輩、大丈夫ですか…」
「大丈夫、大丈夫」
相変わらずの可愛い笑顔で笑う小笠原先輩。
「2人とも3年か」
私服の先輩。
「先輩は1年生ですね」
「残念佑亮。惜しいなぁ。俺は1回生」
かわんないじゃないですか〜！とつっかかる佑亮、とそれに笑って返す先輩。
去年と何も変わっていなくて、
「Aちゃん、なんか嬉しそうだね」
「あ、久々にニタニタしてる」
「は？してない！」
安心して思わず笑みがこぼれた。
少し立ち話をして、軽く手をふる先輩の背中に手を振る。
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作者名：．C | 作成日時：2017年6月19日 11時
