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「こんにちは」
「やっほ」
いつもの定位置に座るなり溜息をひとつつく。
「なんや?どうしたん?」
「私ってなんでこんなにチャンスを逃してるんですかね」
それだけ言うと不服そうな顔をして椅子にぐだっともたれかかる。
「なんや。またなんかあったんか。さては、幼馴染くんやな?」
「先輩せいかい」
思ってもなさそう。コイツほんまに分かり易い。
「で?なにがあったん?」
「今日佑亮に先輩と付き合ってるのかって聞かれたんです」
「ふぅ…………ん?俺?」
「はい」
「………なんで?」
「昨日一緒に帰ってたところ見たみたいで」
「それだけで……」
「それだけで」
「……お前はそんなに悩んでるん?」
「え?」
驚いたように目を見開くAちゃん
話通じあってないな?俺ら。
「あ…違います。問題はその後です。」
「佑亮にまた小笠原先輩の話されたんです…」
「ほぉ」
「で、Aちゃんはなんて返したん?」
「…吉野先輩のことだけ否定しました」
「……あかんなぁ。」
ですよね〜と言いながら机に倒れ込む
「いつもの肝の据わった覚悟でどっちも否定したらええやん」
「無理無理」
「いつも俺に言うみたいに『草川先輩が好きです』っていえばいいやん」
「無理です。てか私先輩にそんなこといつも言ってないし……」
「そんな顔はしてるけどな」
「むっ」
否定しきれないのかまた不服そうな顔をして椅子の背にもたれかかる。
「そういえば今日の草川先輩の髪形、見ました?…………」
ほんまに、拓弥のこと好きやなぁ。
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作者名:.C | 作成日時:2017年6月19日 11時