恋する乙女よ、嘘をつけ。 (ページ19)

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「あ、君。音楽室の子」
「あ…」

図書室で、またあの先輩に出会った。前に会ったときよりどこか痩せた？印象が変わっていた。

「また勉強？」
「いいえ…今日は課題を、」
「ふぅん。ここでやるん？」
「はい」

今日は図書室で。だって、

「…静かにお願いします。晃一」
「あひゃ…ごめんて拓弥」

草川先輩の当番の日だから。

「…じゃあ」

頭を下げる私に“コウイチ”先輩はひらひらと手を振りかえした。
あの人、草川先輩と仲いいのかな。草川先輩、今日はメガネなんだ。可愛いなぁ。
眠そう。あの髪形似合うの草川先輩ぐらいだろうな＿＿＿＿＿＿＿＿

「たのしそーやなぁ」

一瞬、叫ぶかと思った。こらえた声で体が完全に固まる。
隣を振り向けば、さっきのあの先輩。

「…あの、えっと…」
「君、おもしろいなぁ。音楽室、おいで」

そのまま柔らかく笑って図書室を出ていくうしろ姿をみつめる。自分でも何を思ったのかよくわからない。気が付いたら荷物をまとめて、あの先輩のあとを追っていた。

ガラガラとドアを開ければお、という顔でこちらをみてくる。

「俺、吉野晃一」
「えっと、北川Aです…」

「Aちゃん」

呼ばれた名前に少し首を傾げる。吉野先輩も嬉しそうに首を傾げる。

「拓弥のこと好きなんやろ」

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