恋する乙女よ、嘘をつけ。 (ページ18)

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「いつも2人で？」
「そやで。ええやろ」
「なんか晃一が言うと不純」
「なんでやねん」

吉野先輩は相変わらずピアノの前に座ったままで私の隣に腰を下ろした草川先輩と話し込んでいる。草川先輩の隣になる子って、こんな気分なんだ…

「…てか、なんで知り合い？」

多分一番気になってたんだと思う。その質問。

「話すと長くなるでー」

とか言いつつ。吉野先輩は嬉しそうに話しだす。
実際にはそんなに長い話じゃない。ただ、たまたま放課後の音楽室に私が行っただけだった。

「っと。先客かー」

その声に思わず体を震わせたのを覚えている。

「あ…すみません」

荷物をまとめて帰ろうとすれば、

「ん？帰らんでええで。ただ、俺ピアノ弾くけど。ええ？」

不思議な人だと思った。発言の端々からはどこか自己中心的な感じがするのに他人を気遣うようにも感じられた。……特に私みたいに素直じゃない人のことを。

その言葉に1つ頷けばよろしくなーと思っても無さそうなことを言いながらピアノまで歩いて行く。
その先輩のピアノは綺麗で。なぜか頭から離れない感じがした。
まだピアノを弾いている先輩の邪魔にならないように静かに荷物をまとめる。

「…1コ下？」

突然の質問に思わず手を止める。

「はい」
「ふぅん」

興味があるのかないのか。まったく読めない、この人。
静かにドアを開ける。多分もう会わない＿＿＿＿

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