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…何度目かの告白。ほんと、何度目?
「…だから、好きな人いるって…」
知ってるよぉと佑亮はまた笑う。素直な君にどうして私は恋ができないんだろう。
多分____私が素直じゃないから。
…素直に好きって言えないから。
「あ、噂をすれば海先輩だよ」
「ちょっと…いいから」
首をすくめるように小さく屈んで小声で呟く佑亮は昔と変わっていなくて可愛い。
「またまた。お2人さんお揃いで」
背後からかけられた言葉に今気づいたと言わんばかりに振りむく
「あ、小笠原先輩」
「海でいいって言ってるのに…懲りないね」
ニコニコしたまま少し眉を下げる。と思ったら何かをみつけたようにうれしそうに笑って私の目の前のポッキーを指さす。整った顔がコロコロと表情をかえていく。
「これ、食べていい?」
「どうぞ」
私の隣の椅子をひいた先輩は座りながら1本手に取る。
「ほんと2人仲良いよね。いつくっつくの?」
ポリポリと響く規則的な音の間にとんでもない質問をぶっこむ。
素直な君は________
「実は今…えっと、100連敗中です!」
…嘘をつけない。
「え?そうなの?」
佑亮から私に視線をうつした先輩は大きな瞳をさらに落ちそうなぐらいに見開いていた。
「まぁ…」
「A、好きな人いるんですよ」
「え?マジ?誰?同い年?一個下、俺全然わかんねぇんだけど」
「えっと…」
これ以上素直な君を喋らせるわけにはいかない。
「秘密です」
「ええ〜…ヒントぐらいさ?ね?」
ヒント…………私は素直じゃない。
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作者名:.C | 作成日時:2017年6月19日 11時