0. 真赭の薄 ページ1
足音が聞こえる。
これは一人?二人?
ああもう、腕が動かない、久しぶりにしくじった。
撃たれたと言ってもかすり傷、の筈なんだけど。
この任務は、成功させないといけない。
帰らないと。気付かれてた事を伝えないと。
これは、やばい。
足音が大きくなってきた。
この距離なら分かる、一人。
でもかなり体格は良い。
これだけ堂々と足音を響かせてるなんて油断してる証。
行ける、私なら行ける、きっと行ける。
これを越えれば、出口は直ぐだ。
距離にしてあと30
でも、廊下の角をあと一つ曲がられたら、見つかる。
早く。でも焦るな。ベルトを締めなおせ。
靴は…ハイヒールよりは裸足の方がマシ、脱ごう。手に持てば良い。
あと、少し。耐えろ。待て。
…よし、参、弍、壱、
銃を片手に廊下の角から飛び出す。
思った通り、まるで筋肉の塊のような男が、一人。
距離を詰められたら終わる、時間の勝負。
バンッ
血飛沫が飛び散る。
綺麗だなんて言う人も居るけど、私は、別にそうは思わない。
罪悪感だとかが理由な訳じゃあない、そんなものを抱く暇なんて与えられなかったから。
ただ、好きではないだけ、鮮血の
私は、私の異能が好き。
あの、
毒が舞って、舞い踊って、
後に残る美しい朱が。
私は好きだ。
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作者名:初瀬 | 作成日時:2018年1月10日 15時