僕達の一等星【紫】 (ページ37)

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文化祭…高校生の時に見に来たあの活気と陽気で満ち溢れた行事にまさか自分が参加する日が来るとは、感慨深い。

「どうする？参加する？」

「そもそも俺らがやるとしたらどんなこと出来るんですか？」

「手っ取り早いのは露店かな。あとは部誌作ったりステージ発表したりとかしてる所もある」

俺の友達ステージでヲタ芸やるつってた、なんて楽しそうに話してた深澤先輩はとある単語をホワイトボードに書き、私達に明るくこう言った。

「でも、どうせならプラネタリウム作ってみるか？」

『プラネタリウムって作れるんですか？』

「作れるよ。段ボールでドーム状に製作すんの、そこに投影機使って星空浮かび上がらせれば簡易的なプラネタリウムの出来上がり」

「調べたら図面出てきた。意外と作ってる所多いっすね」

「そうそう。まぁ手間も予算もかかるから利益は殆ど出ないんだけど…Aちゃんどう？」

液晶を弄っていた蓮くんと言葉を切った深澤先輩の視線が同時に向けられ一瞬たじろぐ。けど、わくわくとした目を隠しきれてない両者と私の心は一致しているようなもので一回だけ深く呼吸をして口にした。

『やりたいです、プラネタリウム』

「うん。その言葉を待ってた。じゃあやるぞー！」

嬉しそうに拳をあげた深澤先輩につられて私と蓮くんもあげたのは中々カオスだった気がするけどちょっと楽しかった。

期間はまだあるとは言え人手は限られている。だから役割分担をしよう、という深澤先輩の意見に反論者はいなかった。

深澤先輩は事務的な対応とドーム制作の為の人員探し。と言っても深澤先輩の広すぎる顔のおかげで人手はすぐ集まり制作はスムーズに進む。

蓮くんはそのドーム制作を取り仕切るリーダー役。星空を映す投影機も心当たりがある、と蓮くんに託すこととなった。

私は当日プラネタリウムで読み上げるプログラム原稿を執筆することに。

「Aちゃんプログラムで取り上げる星空決めた？」

『冬にしようと思ってます。これからの季節なので興味持たれやすいかなと』

『いいと思うよ。流石Aちゃん」

自分も忙しいだろうに合間を縫ってプログラム原稿の添削をしてくれた深澤先輩、ドーム作業手伝うと言っても「力仕事多いし大丈夫」と微塵も手伝わせてくれなかった蓮くんにはかなりの申し訳なさと尊敬の意を覚えた。

お互いがお互いを労いつつ目まぐるしく過ぎていき、いつの間にか文化祭が目前へと迫る秋深い日々へと変わっていた。