25話 ページ26
AM10:58
翼が来るのは12時。
あと1時間はゲームが出来ると思い私は携帯用ゲーム機で茶髪のカッコ良い男の子を落とすため選択肢を選びながらボタンを押す。
つい先日買ったばかりの新作乙女ゲームだ。
リビングのソファーでうつ伏せになりながらイヤホンを耳に付け完全に自分とゲームの男の子と二人きりの空間。
携帯のバイブ音が鳴る。
チラリと見れば翼からのメッセージ。
【りょーかい(・ω＜)-☆】
何に関しての了解かと言うと…私がゲームに熱中したらインターホンの音に気付かなくなるので予め玄関の鍵は開けておくから勝手に入って、という事を翼に送ったのだ。
なので返信はしない。
もう少しで茶髪イケメンを落とせる…！
然し再び携帯のバイブ音。
しかもメッセージとは異なった長いバイブ音なのでそれが着信の方だと気が付く。
相手は翼のようだが、後で用件を聞けば良いかと思い無視することを決め再びゲームへ視線を戻す。
プロポーズシーンからのキスシーンに…。
しかもイラストがこう…ただのキスシーンではなく、べ、ベロを入れてるような感じの…大人な感じ…！
足を思わずバタバタさせる。
エンディングの曲が流れ始めればその曲を聴きながら幸福感と達成感でテンションが上がってしまいドテンッと勢い良くソファーから転げ落ち、目の前には見慣れた天井……ではなく不機嫌そうに眉を寄せた琥珀色した瞳の男…奥井翼の姿が。
…あれ？
不満そうな顔をした翼は私に何か言っている。
時計を見ればまだ12時を回っていない。
体を起こしイヤホンを外しゲームをスリープモードにする。
「いらっしゃい、早いね？」
翼「だから、早く行っていいか聞こうと思って電話したんだろー？それなのに…俺の電話無視っといてゲームですか、ふーん？」
翼のやつ…面倒臭いスイッチ入ってるな。
とりあえず謝っておくかと思い口を開きかけるも翼は更に続ける。
「しかもチラッと見えたんだけどさ、そのゲームまさかそういう系のやつ？」
僅かに頬を赤らめながら口をもごもごさせている。
どこから居たのか分からないが、恐らく最後のイラスト付きのやつを見たのだろうということは分かった。
「3人目攻略完了。今回の子は割と過激だったわ、暫く糖分に困らなそうなくらい。ちなCだから」
翼「しー？」
「年齢制限みたいなもん15歳以上の人にオススメですよ、ってやつ。ABCD、んで18歳以上のはZになる」
翼「あー」
「今回のゲーム当たりだわ」
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作者名：るーこ | 作成日時：2018年12月26日 19時
