百六十九。臨時休業【翔】 ページ19
これが、終わりじゃない。
終わりになんて、させるもんか。
『…ちょっと。いつまで空のグラスに口付けてんのよ』
ボーッと思考を巡らせて、グラスが空いた状態のままだったことにさえ気付かない俺を見て、笑いながらそう言う二宮に
「え？、あぁ…」と吃れば、さらに笑われる
そんな俺の代わりに、“すみません、芋のロックおかわりで” と二宮が店員に告げた。
『麻里奈ちゃんにはもう応えられない。それは間違いないんでしょ？』
「ああ、当たり前だろ」
食い気味にそう返事をして、店員が運んできたばかりの芋のロックを早々に口にした俺に、変わらずおかしいとでも言うように二宮がフッと笑う
『翔さんは終わってるつもりでも、やっぱり麻里奈ちゃんは違った』
『現に…不意打ちでキスされるくらい隙アリなとこも含めて、Aさんの言う通りキチンともう一度向き合わないといけないでしょうね』
“厄介なことになったなぁ〜”
そんなコイツの一言も、まるで他人事に聞こえるほど
俺の頭の中はAで埋まってる。
『それにしてもさ、連絡くらいは取ってるんでしょ？Aさん、どこにいるの？』
「いや…最後に顔合わせてから、今日まで連絡は取ってない」
俺がそう言うと、二宮は少し驚いた顔をした。
「店を閉めてるってことも、お前に聞いて知ったよ」
『あ、そう…弱ったな』
もちろん気にしない日があるはずなんてない。
だけど、彼女からも連絡はないのが事実で。
即ち、きっと今は何かに集中してるってことだと思いたいけど…
「さすがに、店を閉めてるってのはなんか気になるし。もし本当に具合が悪いんだとしたら、それこそ放って置けないから」
「あとで電話一本入れてみるわ。…出てくれるかは、別だけど」
.
二宮と別れて、丸の内のロータリーから飛び乗ったタクシーで早急に代官山に向かい、Aの店の手前で降り立った。
腕時計に目をやると、22時を指す直前。
いつもならこの時間でも明かりが灯っているはずだけど、やはり二宮の言う通りだった。
“誠に勝手ながら、暫くの間を臨時休業と致します。営業再開時には、当店ホームページにてお知らせ申し上げます”
張り紙にある日付は、やはり2週間ほど前だった。
このまま店前の山手通りを渋谷方面に少し歩けば、すぐにAのマンションに差し掛かる。
家にはいるのか？
そう考えを巡らせながら歩みを進めて、あっという間にマンションの前に辿り着く。
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ゆり:)(プロフ) - このお話が大好きで再開してくださり、とても嬉しいです。取材を受けられるなんてすごいですね！お店に行ってみたいです！ (2021年10月5日 20時) (
レス) @page31 id: 4c9de357d4 (このIDを非表示/違反報告)
miihoo(プロフ) - こんばんは。お仕事の方もお疲れ様でした。更新もありがとうございます。私もざっくり飲食関係の仕事なので身近に感じて毎回楽しみにしています。そしてこのお話の翔ちゃんが大好きです。続きを楽しみにしてますね！ (2021年10月2日 19時) (レス) @page27 id: 4ea876c979 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 続きが楽しみです！楽しみにしています！！ (2021年9月19日 18時) (レス) id: afb0ab4a24 (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは。元彼女め…とモヤモヤしますね( .. ) この後の展開がドキドキです！！更新楽しみに待っています！ (2021年5月29日 21時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティファニー | 作成日時：2021年5月23日 0時
