百二十九。証明してくれよ【智】 ページ9
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『智、寿司銀さんとこにアワビ10杯な！』
『それと、久兵衛さんとこはカジキマグロの受注も来てるから』
俺の一日のスタートは、日が昇り始める早朝から。
真夏に差し掛かるこの頃の市場には、もうすっかり夏の旬物が並ぶようになった。
『あと…Aちゃんとこは、アオリイカとアジだけだったか？』
…A
“ちょうど良かった”
“キミとは一度、キチンと話をしなくちゃと思ってたんだ”
“智クン”
『＿＿とし？……智！』
「…え？」
一緒に受注確認をしていた親父に、名前を呼ばれてハッとする
『おい、なにボーッとしてんだ』
『Aちゃんとこの発注。アオリイカとアジで間違いないのかって』
呆れた顔して俺に再度確認をとる親父に、慌ててAの受注書に目を通す
「あ…うん。アジは5尾」
一瞬
頭に浮かんだアイツの顔を取り払うように、ギュッと目を瞑って頭を振る
『じゃ、今日の分はこれで全部だな』
『父さん、寿司銀さんとこ行ってくるから。お前は先に昼メシ食っとけ』
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築地市場の早めの昼メシを終えて、一服しようと煙草に火をつける。
“キミの都合がつく時に連絡してくれて構わないから”
あの夜
そう言ったアイツから受け取った名刺の存在を思い出して、ポケットの財布に入れてあった “ソレ” を取り出す。
“◯◯商事 事業企画部 部長”
“櫻井 翔”
…何処ぞのお偉いさんだか知んねえけどさ
“一つだけ、断言出来るのは”
“僕はもう、Aさん以外。考えられないって事かな”
…なんでだろうな
こうしていつの間にか、Aの事。サラッと持ってかれて
“智くんの気持ちには、応えられない…”
Aは、俺になんて見向きもしなくて
“…うん。幸せだよ”
ずっと俺が言わせたかった台詞を、他のオトコを想って口にして。
…俺が、あのオトコを受け入れられないのは
ただの悪あがきでしかないんだろうか
俺にはもう
Aのそばにいる権利なんて、無いんだろうか
“携帯電話 090ー××××ー…”
考えても考えても辿り着けない答を求めて
咥えていた煙草を灰皿に落とし、名刺に記された番号をタップする
『〇〇商事、櫻井です』
なあ…証明してくれよ
お前が、どれだけ本気なのかってのを______
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ティファニー(プロフ) - 琴乃さん» ありがとうございます。少しずつの更新ですが、よろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - ぴぃさん» はじめまして、嬉しいお言葉ありがとうございます。私も、どちらかと言うと俺様な彼より甘くてやさしい彼が好きです。また宜しければ覗きに来てくださいね。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - ゆり:)さん» もう本当に当初から、ずっと応援頂き恐縮です…温かいお言葉、ありがとうございます。嬉しいです。ノロノロは相変わらずですが、また書いて行こうと思いますので、よろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - まいさん» 嬉しいお言葉、本当にありがとうございます。返信も遅くなってごめんなさい。また書き始めたいと思うので、ぜひ今後もよろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - miihooさん» はじめまして、メッセージありがとうございます。嵐さんのお休み中に、少しでも癒しの力となれればと…よろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティファニー | 作成日時：2015年6月5日 16時
