百三十四。イヤってほど【翔】 ページ14
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“古い家屋で、玄関に白いでっかい暖簾掛かってっから。すぐ分かるはずだけど”
大野くんの都合に合わせた土曜の夜。
彼が俺と2人での会合に指定した場所は、月島にある古い割烹料理店だった。
『お〜なんだ、えらい良い男が来たね。いらっしゃい』
親しみやすい和やかな笑顔が印象的な老夫婦に迎えられて、店内に足を踏み入れる。
『お一人さん？』
「あ、いや。…あの奥の席にいる、彼と」
然程広くはない店内の中、軽く見渡せばすぐに彼の姿が見つかった。
『あ、智の連れか！どうぞ、今お手拭き持って行くからね』
こんなやり取りも聞こえているはずだけど
大野くんは依然生ビールに口をつけたまま、こちらを振り向く気配はない。
「どうも。待たせて悪かったね」
カウンターの隅っこに座っている彼の隣に腰を降ろし
そう声を掛けると、少し間を空けてから口を開いた。
『…俺も、今来たとこだから』
さて…俺もまずは、生ビールと行きますか。
.
『Aがここで育ったのは、知ってんの？』
彼の言う “ここ” とは、この月島の事を意味しているんだろう。
「ああ、出会った頃に聞いたよ」
俺がそう答えると、少し考えるような素振りを見せて、言葉を続けた。
『全部、聞いてんの？…Aのばあちゃんの事とか』
「…勿論。聞いてるよ」
当然知っている。そう、含みを込めて答える。
すると大野くんは “…そう” と言って、早くも二杯目のビールに口をつけた。
『…じゃあ。俺がなんでここまでアイツの事に干渉するのか、分かるよな』
まあ…ね。
「2つ、あるでしょ。理由」
俺がそう言うと、多分、この店に入ってから初めて
彼が俺の方に視線を向けたのを、前を向いたままでもなんとなく感じ取れた。
「一つは。幼馴染として、家族のように見守ってきた立場だから」
「もう一つは」
そう言って次の言葉を口にする前に、俺も彼に視線を合わせる。
「Aの事を、一人の女性として好きだから」
「でしょ」
視線を逸らさず、彼の目を真っ直ぐ見据えてそう告げた。
『…分かってんなら、話が早いな』
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…きっとさ、タイミングの問題だったんだと思うよ
キミか、俺か。
あまり多くを語られなくても
彼にとって、どれだけAが大切なのかは伝わって来る
イヤってほどにね。
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ティファニー(プロフ) - 琴乃さん» ありがとうございます。少しずつの更新ですが、よろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (
レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - ぴぃさん» はじめまして、嬉しいお言葉ありがとうございます。私も、どちらかと言うと俺様な彼より甘くてやさしい彼が好きです。また宜しければ覗きに来てくださいね。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - ゆり:)さん» もう本当に当初から、ずっと応援頂き恐縮です…温かいお言葉、ありがとうございます。嬉しいです。ノロノロは相変わらずですが、また書いて行こうと思いますので、よろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - まいさん» 嬉しいお言葉、本当にありがとうございます。返信も遅くなってごめんなさい。また書き始めたいと思うので、ぜひ今後もよろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
ティファニー(プロフ) - miihooさん» はじめまして、メッセージありがとうございます。嵐さんのお休み中に、少しでも癒しの力となれればと…よろしくお願いします。 (2021年5月23日 1時) (レス) id: 0bbd7566ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティファニー | 作成日時：2015年6月5日 16時
