やさしい食卓三。【SS】 (ページ13)

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七十三。翔くんの彼女【潤】ページ13

この2週間ほど

久しぶりに日本に滞在して、色んな人との再会も叶った。

帰国ついでに、久々に本社に顔出したりもして。

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『え？あー松本さん！』

『あれ？どうしたんですか～！？』

3年前と、面子はそれほど変わっていなくて安心する。

「ああ、ちょっと野暮用で帰国中なの。

みんな元気そうだな」

滞在最終日となる今日は、翔さんとニノとメシの約束をしてる。

『あ、ちょっと潤くんヒマ？この修正手伝ってよ』

…いや、別に良いけどさ。

『早く終わらせて、早くメシ、行きたいじゃん？ね？翔さん』

ニノの調子の良さは相変わらずで。

『おい、お前だったらすぐ片付けられる内容だろ』

それを翔くんが笑いながら突っ込む。

なんか、昔に戻ったようで、心地良い。

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『こんばんは、お待ちしておりました』

2人に連れられてやって来た店は、代官山の方にある小さな小料理屋だった。

『Aさん、今日誕生日なんだって？ゴメンね知らなくて。おめでとう』

“Aさん” と言うらしいその彼女は、ニノがそう言うと柔らかい笑顔を浮かべて

『ありがとうございます。さ、どうぞお掛けください』

と言って、俺たちを中へ招き入れた。

笑った時に見える笑窪と、長い睫毛に縁取られた大きく黒目がちの瞳が印象的で、着物が似合うなかなかの美人だ。

『あ、Aさん。こちら、翔さんと俺の同期の松本潤くんね』

ニノがそう言ってから、彼女に軽く挨拶する。

『で、潤くん。こちら、ここの店主で翔さんの彼女のAさん』

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ニノがそう紹介した途端、俺の左隣に座る翔くんが、口に含んだビールを吹き出しそうになった。

『おまっ…いきなり言うなよ』

慌てる翔くんの姿に、Aさんも顔を真っ赤にして恥ずかしそうにする

『え？なんで？なんか間違ってる？』

そんな二人に構う事なく淡々とそう言うニノに、翔くんもお手上げと言ったところで

『いや、間違ってないけど…本当にお前ってヤツは』

と言って肩を落としつつ、彼女に優しく笑いかけた。

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“…ああ、いるよ”

“…すげー、大切な人”

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そうか、この人だったのか。

それからの二人をよく観察していると

翔くんがいかに彼女を大切に思っているかが、翔くんの表情や態度からよく伝わって来る。

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今夜は、長い酒になりそうだな。