やさしい食卓三。【SS】 (ページ6)

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六十六。一人っ子ページ6

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広尾の佐藤さんのお店から、歩いてすぐ。

櫻井さんが通っていたという小学校のそばを通り掛かった。

『うわっ、超懐かしい！』

小学校からこんな名門校に通ってたなんて…

“◯◯商事ビジネス企画部部長”

何だか彼は、凄い人なのかも知れない

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ボンヤリそんな事を考えていると

私たちは、恵比寿ガーデンプレイスそばの老舗外資系ホテルの前までやって来ていた。

『ここの夜景も、六本木のあのホテルに負けてないよ』

そう言う彼に続いてホテル内へ足を踏み入れると、スマートなホテルマンがエレベーターまで誘導してくれる。

そうして私たちは、22階にあるスカイバーラウンジに降り立った。

このバーも六本木のホテル同様に、長いカウンターの目の前に広い窓ガラスが設置されていて、壁一面に夜景が一望出来て。

こちらの方が階数が下な事もあってか、よりその景色を近くに感じられた。

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『明日誕生日ってことは、うちのお袋と一日違いだな』

あの夜と同様、バーボンウイスキーのロックを口にした彼はそう言った。

「そうだったんですね。お母様のお誕生日って聞いた時から、もしかしたら私と近いのかもって思ってました」

そう言う私に彼は、何だかまた申し訳無さ気な顔をするから

慌てて話題を変える

「あ、そう言えば、妹さんいらっしゃるんですね。2人兄妹なんですか？」

私がそう尋ねると、彼は “ああ、えっと” と言って

『弟もいるから、3人。妹は4つ下で、弟は一回り離れてるの』

へぇ、かなり離れてるんだな

『四月に帰国した時に何年か振りに会ったんだけど、めっちゃでっかくなっててビックリしたよ』

『この間まで俺がオムツ替えてたのに！って』

そう言う彼は “あ、オムツはもっと昔か(笑)” なんて言って悪戯に笑った。

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『Aさんは、一人っ子なんだよね？』

「あ、はい、そうです」

先程の流れで私に問い掛けた櫻井さんにそう応えると

『その、さ』

彼は慎重に言葉を選ぶようにして、質問を続ける

『Aさんの両親は、どうしていないの？』

『ほら、お祖母さんの話は聞いてたけど』

『そう言えば、ご両親の話は…知らないなと思って』

…あ、そっか。確かに疑問に思うよね。

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「あ、元々父親は分からないんです。私の母は、未婚で私を産んだみたいなので」