五十四。大切な人【翔】 ページ24
東京駅に着いたと同時に、またケータイが鳴った。
また二宮かー？
なんて思いつつ着信画面を見てみると
思わぬ名前が表示され、目を丸くする
.
『久しぶり』
…やっぱり、そうだよな
「…松本？」
『ああ。三年振りだね』
“後から、やっぱり…ってのは、許さねーから”
「…どうした？急に」
『今、日本にいるんだけど。
翔くんも日本でしょ？…今から会えないかな？』
.
.
『翔くん、こっち』
松本が指定した店は、以前よく二宮と3人で訪れていた新橋の小さな居酒屋だった。
『ごめん、急に』
3年振りに会う松本は、変わらずスマートなままだけど
なんだかあの時の威勢なんて感じられないように、酷く自信を無くしたように見えた。
「いや、良いけど…元気だった？」
俺がそう言うと、松本は眉を下げて小さく笑った。
.
「そうか、親父さんが…大変だったな」
どうやら
昨年秋頃から病に倒れ、治療を続けていた松本の親父さんが先日亡くなって、急遽帰国したらしい。
『多分、聞いてると思うけど』
松本はそう話を続ける。
『俺、麻里奈とダメになった』
『あんだけ翔くんに啖呵切っといて、情けねーよな』
松本のその言葉に、どう返せば良いのか分からずに黙っていると
『…結局、アイツの中の翔くんを、俺には消す事が出来なかった』
『俺じゃ、ダメだった』
『精一杯、努力はしたんだけどね』
なんだか居た堪れなくて、手に持ったグラスをボーッと眺める
『人の気持ちって、そう簡単には変えらんねーのな』
.
少しの沈黙の後、松本は俺に視線を向けてこう訊いた
『翔くんは今、大切な人はいるの？』
.
“自分は一人きりなんだと思い知らされるようで、すごく堪えてしまって”
“まさか、櫻井さんに見抜かれていたなんて”
“私もまだまだだなぁ”
.
「…ああ、いるよ」
そう、俺の手で、彼女を守りたい______
「…すげー、大切な人」
松本の目を真っ直ぐ見つめて、俺がそう言い切ると
『…そっか。…今の翔くん、3年前よりすげー良い顔してるよ』
『良い人に、出逢えたんだね』
そう言って、俺に笑いかけた。
.
お前にも、今の状況に負けずに
頑張って、前を向いて欲しいよ_______
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 310人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ティファニー | 作成日時：2015年5月8日 16時
