やさしい食卓二。【SS】 (ページ19)

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四十九。侮れないページ19

そうだった。

櫻井さんに負けないくらい、この人も勘の良い人だった。

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『あの人、ああ見えて意外と奥手だし、恋愛に関しては器用な方じゃないから』

『モテるから誤解されやすいんだけどね』

まるで、私が不安に思っている事を取り払うように

彼は言葉を続ける。

『Aさんは、これまで一人で充分頑張って来たと思うよ』

そう、彼とは

この店の開店当初から色んな話をして来て

『そろそろ、誰かに寄り掛かっても良いと思う』

“俺、Aさんにこうしてもらって元気出たから、これはお返しね”

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『Aさんの事だから、色々考えてるんだろうと思うけど』

“今日は、俺、お客さんじゃないよ”

『あの人なら、何も心配いらない』

『あの人が相手なら、俺も安心出来るよ』

私も所詮、一人の “女” だという事

きっと二宮さんには見抜かれていたのだろう。

本当、この人は侮れない。

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「もう…二宮さんには敵わないなぁ」

そう言って出来上がったハンバーグを彼の前に差し出すと

忽ち嬉しそうな顔をして

“やっぱ、コレだよなー” と言って、早々に手を付けた。

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『しっかしさ、ウチの生田の嫁さんの親友がAさんだったなんて、世間は狭いよなー』

「フフ、それ櫻井さんも同じ事おっしゃってましたよ」

『え、マジ？(笑)』

そう言って何時ものように、ウマいウマい言いながらハンバーグを頬張った。

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ガラガラッ________

『…おっす』

あら、珍しい

「智くん、どうしたの？」

あまり営業時間に顔を出す事のない智くんに驚いてそう声をかけると、

『あ、いや…今日早く終わったから。

たまにはお前んとこでメシ食おうかなって思って』

智くんに会うのは、先月2人で月島のもんじゃ屋さんに行った時以来だった。

“オトコ出来た？”

“なんか、最近またキレイになったなと思って”

そう言えば

あの日の智くんは、何だかヘンだったな

「そうだったんだね、お疲れ様。あ、好きな所に座って？」

私がそう声を掛けると智くんは

右端に座る二宮さんと対象になる様に、左端の席に腰を降ろした。