やさしい食卓二。【SS】 (ページ12)

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四十二。ガンバレ【和】ページ12

『悪い、先行ってて』

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披露宴の後、そう言って何処かへ行ったきり

翔さんが2次会の会場へ入って来たのは招待客の中でも最後の最後

そしてその隣には、Aさんの姿があった。

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ふーん。

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会場入りしてすぐ、2人はそれぞれの仲間内がいる場へと別れ

こちらへやって来た翔さんは予想通り後輩たちから質問攻めにあった。

『え～櫻井さん、あの方お知り合いだったんですか？！』

『あ、さっき披露宴で話題になってた！』

『新婦席の方にスゲー可愛いコがいるって！』

『どういう関係なんすかー！？』

男どもの中で今日一番の話題を攫っていた美女と

ウチのエリート王子が二人揃って登場したことにより、後輩たちがざわつく。

『うん、まあ、ちょっとね』

そう曖昧に翔さんが返すと、すかさず納得行かない様な声が彼方此方から飛び交う。

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「Aさんの店、あれから通ってるんだね？」

俺がそう声を掛けると、ウェルカムドリンクのシャンパンに口を付けた翔さんは

『あー…うん。時々』と言って頷いた。

先ほどの披露宴の時の様に

この二次会が始まってからも、翔さんは彼女の様子を気にして、時折視線を送る。

何か、迷っている様な表情をしながら。

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「…彼女、すげー良いオンナでしょ」

そう、容姿だけじゃない。

Aさんには、人とは違うとても強い魅力がある事を、3年間店に通い、彼女と色んな話をした俺も勿論知っている。

今日一日、翔さんが彼女に向ける眼差しをそばで見ていて、俺の中に核心が生まれた。

「あんな女のコ。そうそう見つからないよ？」

そう何となく、背中を押してみる。

『…そうだな』

…良いんじゃない。俺は、応援するよ。

俺の大事な仲間である翔さんにもそう思うように

俺は彼女にも同様に、このコには良縁に恵まれてほしい、という思いがあった。

Aさんは、誰よりも寂しい人の気持ちに寄り添える、努力の人だから。

今思い返せば

最初からこうなってくれたら、と思ってたのかもな

だからきっと、俺はこの人にあの店を紹介したんだろう

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「明日は月曜日だし、今日はみんなこの2次会で切り上げるだろうね。…このホテルの最上階のバーなんて良いんじゃない？」

ガンバレ、エリート櫻井翔。