やさしい食卓一。【SS】 (ページ23)

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二十三。魅力溢れるページ23

『へー、着付けもやってるの？手広いな』

櫻井さんはそう言って、驚いた顔を見せる。

「そうなんです。もちろん店が優先なので、出来る時は限られてしまうんですけど…」

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日曜日に予定がない時や

平日の午前中に時間があれば、着付けの依頼も受けている。

もともとやっぱり着物が好きで、学生時代にアルバイトとしてやっていた着付けの仕事だったけど

今でもその頃からの繋がりがあって続けられている。

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『しかしAさん、若いのに本当にしっかりしてるね。良い才能が沢山あって尊敬するよ』

…あれ？私、年齢言ったことあったかな？

『二宮が “6つも下なのにさん付けで呼んじゃう” って言ってたの、今ならすげー分かるな』

ああ、二宮さんから聞いたのか。

「そんな、才能なんて言えるほどの大それたものじゃないですよ」

店では基本、お客様の聞き手に徹するよう心掛けているけれど

なんだか今日は持ち上げられ続けて、居た堪れない気持ちになる。

それが櫻井さんのような人が相手だと尚更だ。

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この人は、凄く魅力的な人なんだと思う。

端正なルックスもそうだけど

知性が溢れていて、女性との距離感の測り方が上手い。

だけど決して傲慢になることはなく、謙虚な姿勢でいようとする姿が見える。

きっと周りの女性も放って置かないだろう。

そしてそれは、賢い彼なら自覚しているはずで。

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“まずは相手見つけねーことにはさ”

“あのままニューヨークにいたら、

多分ずっと結婚出来ないままだったと思うわ”

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彼のような人からも、以前そんな台詞が出ていたことに

今になって不思議な気持ちになった。

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『じゃ、ご馳走様。〆のイサキの胡麻味噌茶漬け、めっちゃ美味かった！今週は割と夜空いてるからまた来ちゃうかも』

…あ。智くんに、蛤とミル貝、頼んでおこう。

「それじゃ、櫻井さんのお好きな貝類、旬のものを仕入れて置きますね」

私がそう言うと、彼はニッコリ笑って

『ありがとう、じゃあまた』

と言って店を後にした。