私には、悪じゃない

カウント12 ページ15

顔色の変化に気づきやすくなったおかげで





若さんが不機嫌になったことにもすぐ気づき





体がビクッと硬直してしまう





謝らなければ、不快にさせてしまったことを





でも何が不快にさせたのかが分からない





明確に謝罪しないとまた…





頭の中が恐怖で埋め尽くされ始めた時





「…眠りながら、泣いていた」





ポツリと、若さんが一言だけそう言った





考えていたことも忘れ、目を点にしていると





不機嫌な顔のまま言葉を続けた





「…むやみに謝るな、怯えるな」





ここにいるのは今まで出会ってきたやつとは違う、と





そう言っているように聞こえた





謝らなくていい、怯えなくていい





若さんと出会ってここへ来てからを思い返し





なんとなく、若さんの言っていることに





素直に頷ける気がした





「…はい、ごめ、あっ…」





癖はそう簡単には治ることは無いため





謝罪の言葉が無意識に出てきてしまう





謝るな、と言われた手前なんて返していいか分からず





1人でオロオロとしていると





若さんの腕が頭に伸びてきて、優しく一撫でして





「落ち着け、ゆっくりでいい」





優しい声色でそう言ってくれた

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