検索窓
今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:56,573 hit

11-6 ページ20

先程からここが牢屋なのにも関わらず、恋バナで盛り上がっている。所詮あのバカと同じDNAを持ったおっさんなのだ。こういうJKのような話題でキャッキャとはしゃぐところは似たらしい。

「そうか…あんなガキだったのになぁ…そうか、そうかぁ…あいつがなぁ…」

家庭の事情からか昔からあまり可愛がってやれなかったことに、後悔をしているようだ。始めのほうは楽しそうにニヤついていた組長は、だんだんと涙目になり、声も出さず悲しそうに頷くだけになった。









…お父さん…



父親の顔を知らない私にとって、組長の涙はなにか刺さるものがあった。


私にも、こんな風に、私のことを思ってくれるお父さんは、いたのだろうか。


私にも、自分のために泣いてくれるお父さんは、いたのだろうか。


私にも、両親と過ごした時間はあったのだろうか。


私にも…




「…!」


自分が泣きそうになっているのに気づき、自分で驚いた。

幸い組長はこちらの涙に気づいていない。急いで顔を拭い、声をかける。

「あなたの息子は、いいやつです。顔はちょっと怖いけど、優しくて、面白くて、お人好しで、甘えん坊の、大馬鹿野郎です。」

最後の大馬鹿野郎にウケたようで、組長はまた笑いだした。

「そうか、大馬鹿野郎か!こりゃ面白いやつに育ったようだな!早く会いたいな、顔が見たいよ。」

その後にぼそっと「あいつは私に会いたくないかもしれんがなぁ…」とこぼしたのを、私は聞き逃さなかった。





















「…いいでしょう、会わせてあげますよ、組長」

背筋が凍りつくような、刺々しい声が2人を刺す。


天井の板の1枚が取り外され、上から見覚えのある顔が見下ろしてきた。


「今夜、会いたいと願っている人がここに来ますよ、一緒にあの世へ送ってやる。」


「どうせ3人のうち、天峰親子の戸籍は既に無いしな。」


不気味な笑い声


「最愛の息子を、最愛の人を、それぞれ待ちわびてる事だな。」


天井の板が、元通りにはめられる。


静寂。


時計の針は18:00をさしていた。

11/5現在の作者の様子を覗く特別企画→←11-5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (151 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
157人がお気に入り
設定タグ:トリップ , 日常 , 占ツク , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白猫アリス(プロフ) - はじめまして!1から読ませていただきました!とにかくきょうくんのツンデレやばいもう語彙力低下しそう( ゚∀゚):∵グハッ!!更新頑張ってください! (2018年2月26日 23時) (レス) id: 7ad032ce1b (このIDを非表示/違反報告)
孤独の錬金術師×孤独の獄卒×孤独の海賊×孤独の妖怪 - おーーーーーー!!!!。 (2017年10月19日 6時) (レス) id: 507f5c40b1 (このIDを非表示/違反報告)
丸干し - ツンデレ! I love ツンデレ!! きょうくん最高!! (2016年12月15日 17時) (レス) id: ca2c405926 (このIDを非表示/違反報告)
カミツレの花(プロフ) - 更新待ってました!これからも楽しみにしていますっ(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年11月5日 23時) (レス) id: 5332a3f4a6 (このIDを非表示/違反報告)
桜雫(プロフ) - 1から読まさせていただきました!きょうくんツンデレご馳走様です!!更新カバディしながら待機してます( ºωº )!!! (2016年8月25日 2時) (レス) id: 7a00add657 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/11235/  
作成日時:2016年1月2日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。