占ツク「の中」にいます 3

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数日後


私は学校に行った帰りに、不思議な男性と会った。高校の前から付いてきて、最初ストーカーかと思ったら、いきなり「A様でいらっしゃいますか」と聞かれた。


…いや、ただのやばい人やん。ストーカーだって。


そう思って逃げようとした。その時。


「いつも、『うちの』天峰がお世話になっております」

聞きなれた名前が、男性の口から出る。



うちの？

ってことは、身内の人？


もう一度その男性をよく見ると、かなりの長髪を後ろでまとめていて、スーツ姿、老けてはないけど若いわけでも無さそう、容姿そこそこ端麗、と言ったところだろうか。


「…はぁ、え、し、失礼ながら、どちら様ですか？」

少なくともあったことは無い。でも男性の方がこちらの名前まで知っているとなると、全く関係がないわけではない。

しかも「天峰」の名が出てきたから、少なくともヤクザ絡みの人ではあるのだろう。この場で警察に走るのは色々と危険だ。



「これはこれは申し遅れました。私、天峰家の後継者候補の1人であります、狭間と申します。A様のことは、よく存じ上げております。」


私は瞬時に危険だと悟った。

実際の後継者である「息子」は、私の家に居候しているんだ。

この人も後継者であるなら、それなりの権力争いになっているはず。

嘘をついているなら、私を騙そうとしているという事。


…狭間さんはお辞儀をするふりをしながら、さっきから1度も左手を背中に回している。気にし過ぎかもしれないが、少し動きが不自然だ。


















「…あのぉ、」

「なんでしょう？」


「…どうでもいいような事なんですけど、狭間さんは左利きですか？」

「何故そのような質問を？」

笑顔で返されたが、その言葉に怒気が混じるのを私は聞き逃さなかった。

「動きが…不自然だから…。」



顔の筋肉がみるみるうちに張っていくのが見える。しまいには憎悪がにじみ出た様な顔になった。

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