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「……俺がA守りたかったのに」

「ごめんね、マイキー。やっちゃった。ありがとう、ココと岸くんも急ご!地下の二人も撤収!」

《《はい!!》》


 振り向いたAは普段通りで……つーか、ここにも爆弾仕掛けてたのかよ。

 証拠隠滅には手っ取り早い。寧ろ、こんなに暴れさせる必要があったのか疑問である。

 往路より余裕を持って死体を蹴飛ばしながらAに尋ねれば、どこか気恥ずかしげに「確実だし、独りじゃないから」とはにかまれた。

 本山から出て、梵天幹部に部下たちと合流する。

 見たところ、皆大きな怪我はないようだ。

 血濡れの日本刀片手に、手を繋ぐボスとAに突進する勢いで駆けて来たのは三途だ。

 二人の怪我の有無を確認しているようだが、お前その返り血軽くホラーだぞ。

 案の定、顔を顰めたマイキーに「臭ェ」と一蹴されていた。


「皆、離れて!!!」


 Aの指示で各々が急いで車まで戻る最中、


 ーードカン!!!!!


 耳をつんざくような爆破音、振り返れば囂々と燃え出した本山。

 正直、火事はトラウマだった。Aに出会うまでは。


「……案外、平気なもんだな」


 小さく零せば「九井さん、急ぎましょう!」と部下に急かされる。

 そうして、Aが予め道中の監視カメラに細工を加えた複数のルートからアジトへと戻った。


"指定暴力団極義会、同岩井会各本部、支部計17ヶ所にて大規模爆発。関係者延べ1,000人以上が死亡か。共に崩壊、抗争は収束へ"


「カーッ。梵天のボの字もねー、相変わらずサツはマヌケだなァ」

「普通そう読むだろ。Aが何枚も上手だっただけだ」

「まさかAちゃんとデンパジジイ共、爆弾仕掛けるだけじゃなくて」

「チャカにヤク、ドル箱から債務者リスト、契約書類まで持って来てたとはね〜♡」

「……そのAはもう部屋か?」

「総決算まで寝るってよ。ボスもちゃっかりついてった」


 丸二日、極寒の仕事部屋で作業していたのだから消耗していて当然だ。

 Aロスの中、死んだ魚のような目で最終確認していたボスも……まぁ。


「Aと部下たちには特別手当だな」

「ずりー……とも言えねーわ。俺もどっか良い店連れてこ」

「竜胆はAちゃんとデートしたいだけだろー?蘭ちゃんも行くー」

「それAにメリットねーだろ。暫く休ませたれや」


 とりあえず、俺もデスクワークの傍らトレーニングしよう、と心に誓った。

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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月26日 19時

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