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52. ページ5

何だこれ、タイマー……カウントダウン?


「爆弾、か」


 知ってこそいたが、我らがクイーンはとんでもねーな。


《っ、20!!鶴蝶は!?》

《34》

《ハァー!?お前ら何数えて……まさかステゴロか、よっ!!?》

《Aちゃん、兄貴がサボってる》

《おいクソ谷今どこだ!!》

「蘭は二階の踊り場横の物置」

《言わないで〜Aちゃん……よっ、竜胆後ろー》

《っ、ぶね!!気付いてたなら知らせろよ!!?》


 煩い実況中継に潔くインカムを外したボスは、Aの膝枕で横になり出した。

 まぁ、残っている半数以上は知った顔。もう直に終わるだろう。

 そう思った時。竜胆がモニターから弾かれ、閃光が走った。ノイズに混じって蘭の焦ったが聞こえる。


「竜胆!!!」

「ちょ、おい!A!!」

「っ、多分手榴弾よ!ココ、マイキーをお願い!!」

《来、んな……っ、Aちゃん……コ、ホッ》


 煙を吸ったのだろうか、咳き込んではいるが竜胆は一先ず大丈夫そうだ。

 しかし、Aは走る足を止めない。


「行くぞ」


 むく、と体を起こしては車から飛び降りるボスと岸に続いてAを追う。

 三途や鶴蝶たちも静止を掛けているが、Aは間もなく俺の視界から消えた。ボスと岸も。


「はっ……マジで運動不足だわ」


 ーーーパパパパパパパンッ!!!


 この早撃ち……Aだ。


《貴方、確かモッチーの部下さん。元々そっちの人間?寝返ったの?》

「……は?」《《《は?》》》

「A、まだ殺すな!どこまで情報を撒いたか聞かなきゃ、」

《根絶やしにするんだから問題ない》


 酷く冷たい声だった。Aの無事に安堵しながらも、思わず背筋が凍る。


《……17年前、灰谷兄弟に弟を殺された。俺の敵は梵天でもお前でもねー》


 なるほど。アイツらが年少入ったきっかけ、灰狂戦争だかで死んだ野郎の兄貴か。

 まぁ、《結局はネズミだった訳だわなァ》……である。三途と被ったのは癪だが。

 《名前もツラもなーんも覚えてねー》《俺も》呑気に笑う灰谷の声も聞こえる。


《そっか。じゃあ良いや……あ、岸くん。念の為この人縛ってくれる?》

《了解です》

《さっきの手榴弾で、内部の爆弾が作動した。皆、10分以内に表に出て》

 屍を踏ん付けながら漸く辿り着いた先。Aの隣にはボス、目の前には岸と意識を飛ばした裏切り者。

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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月26日 19時

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