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50. ページ3

今回は部下もそれぞれ数十人投入する運び、早速先々月Aと鶴蝶が運び込んだ大量の銃器の出番が来た。

 久しぶりの大仕事に気分が高揚するのを感じる。

 マイキーに続いて席を立たず、タブレットのモニターを確認するAに何しているのか問えば、望月たちの部下に混ぜて潜入させたAの駒が極義会の本山内外に隠しカメラを複数取り付けたのだ、と。


「ヒェー。お前の部下共デンパくんなのに、エグい事すンのな」

「理工と情報に強い子たち選別したからね」

「子、って……最年少のお前からしたら皆オッサンだろ」

「"若い構成員はダメだ"って言ったのハルじゃない。マイキーと蘭たちまで」


 皆過保護よ、とガキみてーに形良い唇を尖らせるAの頭を撫でる灰谷兄。弟もンな愛おしげにAを見ンな、キメェ。

 事実Aの部下を決める際、マイキーを筆頭に皆が各々条件を出した。

 一介の構成員はアジトのロビーないし中階までのエレベーターで顔を合わす程度だろうし、他にも同世代の女、それもハニトラ要員が少なかれいるに関わらず、Aの人気は絶大だった。

 アイドルやマドンナ的な所感ならまだしも、手を出そうとする身の程知らずは俺ら幹部が制裁を加えども後を絶たず。

 しかしAは、確か九井が担う通信関係のフロントの履歴書を流し見、揃って眼鏡で冴えないオッサンを数匹拾って来たのだ。

 Aの鑑識眼と教育あってか、今や忠犬よろしくバリバリA、そして梵天に貢献している。死なれたら困る、と体術も叩き込んだらしい。鶴蝶がAに手伝わされた、と何故か嬉しそうに愚痴っていた。変なとこ器用かよ。

 俺や灰谷に「デンパ」と嘲笑われながらも、敬愛するAに調達されたスーツを纏えば既に要人SPのような貫禄である。

 何ならAと近しい俺たち幹部にまで目を光らせている始末、偉くなったなァと茶化しても顔色一つ変えず一礼するに留める、可愛げもクソもねーオッサン共だ。

 まぁ、変な野郎に唾付けられるよかマシだが。


「ハル。今本山の構造とセキュリティー詳細送ったから、皆で配置相談して」


 お疲れ様、と手を振り部屋を後にしたAは、"最終兵器"とやらの仕上げに行くのだろう。

 さーて。


「いっちょカマすかァー♡」

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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月26日 19時

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