10. 梵天へようこそ *all ページ10
恨み深いドームとやらを何とか無事に越え、辿り着いたどデカい廃墟。
取引先のアジトだろう。
銃を向けられながらも、Aが守衛らしき数人と話をし、今度は和かに案内された。
人の事言えねーが、こいつら情緒大丈夫なンか?
そして案内された部屋。目の前には、恐らく先方のボス。
決して良質とは言い難い対面のソファーに、Aを挟んで俺と部下も腰掛ける。
Aがボスと話し込む事、小一時間。正直何言ってっかわかんねーし、とにかく護衛に徹した。
「終わったわ。アッサラムアライクム、ハルとタクミもお礼言って」
「ハァー?どう終結したかわかんねーのに礼もクソもあっか」
「元の倍相当の銃器を譲ってくれるそうよ」
「……何がどうしてそうなった」
「"そちらがドームの説明を省いたせいで、彼らは生死を彷徨い、一人は亡くなった。ハルは梵天のNo.2、その世話したのも私。敵に回すには危険過ぎる相手だと思うけど"って貸し作ってからトントン」
"貸し"っつーか脅しだよな、それ。
そうして何とか終わった取引、ヘリを待つ間「街の皆に挨拶と、諸々話したい」とA。
「俺らも行く。マーケットにも寄れ」
「ハル、あのドラッグ気に入ったのね」
……普通にバレてやがる。肩を震わせる部下の脛を蹴っておいた。
どうやらAは足が付かぬよう頻繁に拠点を変えているらしいが、仕事に必要な最低限の物を移すと言うAの後を追って仕事場に踏み入れ、驚く。
ここは北極だったかァ?
「さっぶ、ンだこの部屋」
「電子機器が多いから0度以下じゃないとショートしちゃうの……二人とも唇紫だけど。持って行くのは最低限、外で待ってて良いわ」
それから間もなくヘリが到着し、日本へと帰還。
何だかんだ治療期間含め長い滞在だったような、でも案外退屈しなかった。
「A、クソ谷兄弟には気を付けろ」
空の上で呪文の如く繰り返したにも関わらず、
「うわ、実物もヤベー可愛いじゃん」
「Aちゃ〜ん♡蘭ちゃんだよ〜」
「ありがとう。よろしくね」
アジトに到着して早速、これである。よろしくすンな。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時