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「ハル、タクミ、この子も同行して良い？」
ポニーテールを揺らしながら振り返りこて、と首を傾げるA。
ダメだっつったらそのガキの腰にささってる銃で撃たれんだろ！！と叫びたくなったが、部下はつい二週間前撃たれた箇所が痛んだのか、青褪めながらもコクコクと頷いていた。
しっかりしてくれ。
ガキと手を繋いで再び歩み出したAの後ろを追いながら、こっそり部下の脛を蹴った。
路上で普通に売られているヤクを覗いた際、小声で「三途さん、今は我慢して下さい」と言ったのは仕返しか？偉くなったなァ？
「何、ハル欲しいのあったの……って、ああ。良いわよ別に、欲しければ」
「「は！？」」
「私はやった事ないから質だとか知らないけれど」
…………買ってみたわなァ。
「Aさん、こういうのってシマとかないんすか？」
「あるよー！でもストリートの売人に渡っちゃえば、もう個人所有だから。皆好きに上乗せして稼いでるの。大分ぼったくりよ、ハルのそれ」
「フン、500ルピアなんて犬の餌だぜ！！」
「背後に気を付けてね」
「スミマセンデシタ」
冗談に聞こえねーんだわ。
観光気分ですか？と尋ねて来た部下に「真面目な反社がいて溜まるか」と返せば「鶴蝶さんとか」と真顔で放れた。テメーは誰の部下だよ。
普段俺に忠実なくせにこうして茶化してくる辺り、大概コイツも浮かれていると思う。
マーケットに着くなり、Aは色んな奴らに挨拶されながらバカほどの食いもんを買っていた。
「やっぱり俺らジロジロ見られてますね」
「慣れたわ！つかA、お前何だその大量のパン」
「皆に配るの！美味しいのよ、ここの」
Aに手を引かれたガキにも、紙袋から溢れそうなパンや菓子らしきものを渡している。
「Aさん、持ちますよ」
「ありがとう、タクミー！！いつもは車だから、助かっちゃう」
「い、いえ！」
「……何鼻の下伸ばしてんだテメー。俺も持つに決まってンだろ、あ"？」
「ハルもありがとう！銃槍痛んだら無理しないでね」
振り返り、にこりと笑うA。
(コイツ……もし連れ帰った時ハニトラ要員とかにされねーよな？上回る能力があっから大丈夫だとは思うけどよォ……)
って何で俺がこんな心配しなきゃなんねーんだ。関係ねーわ。
「……クソタラシ女」
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
