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もうちょい右！Aの顔が見えねー！指図される通り、不器用なりに角度を調整しながら。
ーー俺は一体何をしているのだろうか。
寝る時も繋いでて、と相変わらずなボスに頷いたAはノートパソコンからタブレットに接続を切り替え、食後すぐ自室に戻った。
久しぶりに鶴と寝たかったのに、と可愛い小言を残して。
その翌日、ドームに出張っているAを待っている最中。
背後から頭に銃を突きつけられた。
「動くな」
一切の気配がなかった。この家の鍵だって厳重、かつ特殊なものだった筈。只者ではない。
ーー丸腰だが、久々に暴れるか。
銃を握るその腕を捻り上げようと思ったその時、パン！と軽い銃声の後、俺の頭の真横を弾丸が走った。
「何してるのよ、シュウ」
どうやら、Aが俺に向けられていた銃を弾いたらしい。
「A、久しぶりだな」
「貴方に私は捕まえられない。契約を忘れたの？」
「勘違いするな。好いた女の近くに知らん男がいたもんで、威嚇してみただけだ」
「はぁ……鶴、彼はFBIの赤井秀一。でも絶対に喧嘩売らないで。シュウ、幼馴染みの鶴蝶よ」
「"FBI"だと！？」
「ホォー……"幼馴染み"か」
「……二人が睨み合っても良い事ないわ。シュウ、仕掛けた悪趣味な盗聴器持って帰ってちょうだい」
「"悪趣味"でない、例の盗聴器と発信機を作って欲しい。報酬は弾む」
「明後日東京に戻ってからの制作になっても良いなら」
「構わん、詳細は追って送る。Aが拠点を移した先はやはり日本だったか」
「ええ」
……ホワイトハッカーとしての依頼人、か？俺を差し置いて話を進める二人はどこか息が合っていて、気に入らない。
一先ずFBIの男は俺が梵天だと知らぬ様子、一般人を振る舞うべきだろう。
「カクチョーと言ったか。銃を突きつけられても臆さんどころか、応戦しようとしたな。何者だ」
「……"ただの族上がり"だ。まさか、一般人に銃を向ける警察関係者がいるとはな」
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
